胃がんで胃を切除すると腸内環境が大きく変わり、大腸がんとの関連が指摘される細菌が増える可能性があるとする研究結果を、東京工業大や大阪大などのチームが17日、発表した。胃がん患者は大腸がんを発症するリスクが高いことが知られており、こうした大腸がんの発症予防につながることが期待される。

チームは国立がん研究センター中央病院で大腸の内視鏡検査を受けた人のうち、胃がんで胃を全摘か約3分の2切除した患者計50人と健常者56人の便のゲノムなどを解析し、腸内細菌の種類や構造を調べた。胃を全摘した患者は、初期の大腸がん患者に多く見られる細菌や、細菌が作り出す物質が多いという特徴があった。

胃がんなどで胃を切除すると、低栄養や貧血などの合併症が起きやすい。チームの山田拓司・東京工業大准教授は「腸内環境を変えることで合併症の治療や予防にもつながるかもしれない」と話している。

人の体内には約千種類の腸内細菌がいるとされ、その活動が健康に大きな影響を及ぼすことが分かってきている。〔共同〕

2020/1/18 10:11
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54557990Y0A110C2CR0000/