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愛知県豊橋市の寺に約9か月ぶりに帰ってきたという、お地蔵さま。地元の人が涙して喜んだ、そのワケとは。



 豊橋市嵩山町にある、無人の小さな寺『十輪寺』。

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この寺にあるのが、子どもたちを守ってくれるとされる仏像。700年も前に作られ、代々大切に受け継がれてきた「地蔵菩薩(ぼさつ)」です。

 ところが…

「よかったよかったと思って、本当にうれしい」
「涙が出ました、うれしくて」(住民)

 住民が涙を流して喜ぶ、前代未聞の出来事が起きていたのです。



 去年8月。年に1度、お地蔵さまを拝む「地蔵盆」。

「お参りをしようと開けたら、からっぽだった」(寺を管理する 久納正弘さん)

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あるはずの場所にお地蔵さまの姿はなく、盗難されていたのです。

 普段から本堂は南京錠で施錠されていましたが、去年4月半ばに地元の住民が掃除をするため本堂を開けようとしたときには南京錠が開かず。このときすでに盗まれた後で、カギはすり替えられたと住民は話しています。

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「信じられないし、これからどうなるかと思っていたので」
「村のみんなを守ってきてくれている存在なので」(住民)

 人々の心のよりどころとして地元の人に親しまれてきたお地蔵さま。文化財としての価値も高いと専門家は評価しています。

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「指定文化財にはなっていないが、最近評価が高まっている仏さま。非常にできがよく造形が上手で」(豊橋市文化財センター 岩原剛さん)



 ところが去年10月、お地蔵さまの行方を追っていたなか、事態は急転します。

「8月に盗難届が出されていた仏像が、あちらの背の高い仏像です」(記者)

 豊橋市内に住む古物商の男が逮捕され、押収品のなかにあのお地蔵さまがあったのです。

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逮捕当時、男は盗んだ仏像をネットオークションで販売していたとみられ、「お金が欲しかったから」と供述していました。

 そして、1月16日。大きな段ボールが寺へと運ばれました。盗難されてから約9か月、警察から住民たちのもとに、お地蔵さまが帰ってきたのです。

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「場合によっては(売るために)色を塗ったり、(状態が)激変する場合もあるので。そうすると目も当てられない」(豊橋市文化財センター 岩原さん)

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 幸いお地蔵さまには大きな破損などはなく、1月18日の法要では帰ってきたお地蔵さまを一目見ようと住民らが駆けつけ、ひとりひとりがそれぞれの思いをお地蔵さまに願っていました。



 今回の盗難を受け、寺では鍵を増やすなど防犯対策を強化したということです。

2020/1/22 11:00
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