<ロンドン大学の専門家チームが推定した新型肺炎の感染規模は、今週初めに発表した推計結果の2倍以上に膨れ上がった>

中国湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は、少なくとも4000人に上ると専門家が推定した。

昨年12月に武漢市の保健当局が新型コロナウイルスを確認して以降、米ジョンズ・ホプキンズ大学が作成した患者数まとめによると、これまでに18人が死亡、653人が感染したと中国保健当局は発表している(24日正午現在)。

しかしロンドン大学インペリアル・カレッジで、「モデリング」という新型肺炎の感染モデルの解析を行っている専門家チームは、1月18日までに累計で4000人が感染した可能性があると推定した。昨年12月に発生した初期の感染者は武漢市の海鮮市場の関係者だった。

「武漢での感染拡大によって、実際にはこれまでに検知、報告されているよりも穏やかな症例や、反対に深刻な呼吸器症状を引き起こしている症例があるのではないか」と、専門家チームはコメントしている。

また、中国当局の症例報告が今週になって急増したのは、感染の検知、報告体制が「ここ数日の間に大きく向上したため」と説明している。新型肺炎への理解が進むことで、「我々の推計結果と公式発表の感染者数の違いがさらに縮まることが期待される」という。

<中国本土以外の感染者数も増加>

ロンドン大学の専門家チームは、今週20日に武漢市内の患者が1700人以上にのぼるという推計結果を発表したが、今回はそれから感染規模が2倍以上に膨れ上がっていると解析した。「中国本土以外で確認された患者数が3人から7人に増えたことが、今回の結果に繋がった」と専門家チームはコメントしている。

さらに、「今回の推定結果は、感染者数が1月12日から18日の期間に2倍に増加したことを示しているのではない。中国国外での症例検知や報告の遅れ、症状発症の日付の情報が不十分なこと、さらに国外の症例がいまだに非常に少ないことなどを考え合わせると、我々も現時点の感染拡大のスピードを推定することはできない」と注意を促している。

ロンドン大学の解析は、武漢天河国際空港の約1900万人の年間利用客数や、過去2カ月間に武漢から国外へ出国したり入国した旅行客数、武漢から市外に出る人たちへの水際検査の実効性などのデータに基づいている。また、感染から症状が発症して検知されるまで平均で10日間の潜伏期間があることも考慮している。

コロナウイルスは通常のカゼの原因となるウイルスだが、新型はさらに重大な、SARS(重症急性呼吸器症候群)に似た肺炎症状を引き起こす。感染者は武漢を中心とする中国本土だけでなく、タイ、韓国、日本などでも見つかり、21日にはアメリカでも感染者が見つかった。

米疾病対策センター(CDC)は、今月初めから「2019-nCoV」と名付けられたこの新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める予防措置を実施している。医療関係者は、武漢に行って帰国し、呼吸器症状がある患者には警戒するよう指示されている。新型肺炎の症状では、熱や咳、息切れ、呼吸困難などが見られる。

1/24(金) 14:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200124-00010000-newsweek-int