公共施設や港湾被害
宇和島の強風 暴風警報出ず市民戸惑い
2020年1月29日(水)(愛媛新聞)
https://www.ehime-np.co.jp/article/news202001290183

 低気圧の影響で27日に強風が吹き荒れた宇和島市では一夜明けた28日、被害状況が徐々に判明した。市によると、校舎や体育館などの公共施設で屋根やガラスの損壊などを多数、護岸フェンス倒壊など港湾や漁港の海岸保全施設の損壊を3件確認。市民は朝から片付けなどの対応に追われた。

 市は農作物や農業用施設、林地や漁業の被害について調査を進めている。宇和島地区広域事務組合消防本部によると、管内で通報のあった物損事案は28日午前7時現在で75件。

 「台風の時でも風が強いのは2、3時間くらいなのに、昨日は一日中強かった。こんなことは初めて」と話す市民もおり、暴風警報が発令されず強風注意報にとどまったことへの戸惑いの声も聞かれた。
松山地方気象台によると、暴風警報の発表基準は平均風速が陸上20メートル、海上25メートルで、今回は南予で陸上18メートル、海上23メートルと予想。「警報基準にかなり近い注意報」として、26日に強風注意報を出した。27日に宇和島観測所で記録した平均風速は14メートルで、警報発表基準には到達しなかったという。

 市教育委員会によると、27日は小学校3校が下校時間を早め、各校が児童を保護者へ引き渡したり教職員が引率したりして下校させた。放課後の部活動を中止した中学校もあった。

 28日は朝から片付けに追われる市民の姿が各所で見られた。同市文京町の城南中では教職員が通学路に立って登校を見守り、生徒と共に学校前の歩道に飛んできた樹木や校内に落ちた葉っぱなどを清掃。
同市和霊町の和霊神社では拝殿横の大木が根元から倒れ、近づかないよう注意喚起する張り紙を掲示した。近くの和霊公園ではヒマラヤスギなど約10本の大木が根こそぎ倒れ、多数の市民が驚いた様子で足を止めていた。

 市教育委の説明では、複数の倒木で閉門している宇和島城は、天守のしっくいが剝がれるなどの被害が出ており復旧作業を継続。国登録有形文化財の市立歴史資料館(住吉町2丁目)は瓦が落ちるなどし、確認や復旧のため29日まで閉館する。