2020 2/1 17:45
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200201-00000549-san-bus_all

英国の欧州連合(EU)離脱を受け、日英両政府は経済連携協定(EPA)の早期締結を目指す。
昨年2月に発効した日本とEUのEPAによる関税引き下げなどの優遇措置は、英国の離脱で
日英間の効力は移行期間である今年末に失われる。
日英両政府はEPAの来年1月の発効も視野に、両国の貿易への影響を最小限に抑える狙いだ。

「新たな経済的パートナーシップの構築に速やかに取り組む」
茂木敏充外相は1日、英国のEU離脱を受け、談話を発表。
経済の混乱を招く「合意なき離脱」が回避されたことに関し「英国とEU双方のリーダーシップ、
 特に英国でジョンソン政権が誕生以降、離脱プロセスが大きく進展したことを評価する」と表明した。
安倍晋三首相と英国のジョンソン首相は昨年12月、英国のEU離脱などをめぐって電話で会談。
安倍首相が「野心的な経済パートナーシップの構築に迅速に取り組みたい」と日英EPAの早期妥結に
意欲を示すと、ジョンソン氏も「EU離脱後、可及的速やかに議論したい」と応じた。

EPA交渉の妥結には、数年かかるのが一般的だ。
このため日英両政府は、日欧EPAの関税引き下げ水準をベースに交渉を進めることで早期妥結を目指す。
それでも、「年末の移行期間終了まで時間がない」(外務省幹部)のも事実だ。
英国は移行期間前に他国との本格的な貿易交渉はできないが、日英は妥結を急ぐため今年1月から
非公式協議に入っている。
英国がEUを離脱した後、本格的な交渉に移行する。

仮に今年末までに日英EPAが妥結できず、また移行期間の延長もできなければ、来年1月以降は
日英間の関税が、日欧EPA発効前の税率に戻ってしまう。
例えば、日本からEU域内への輸出では、10%だった自動車の関税が8年目に撤廃される。
1年目は8・8%、2年目からは7・5%に引き下げられるが、EU離脱に伴い英国向けは10%の関税に戻る。
また、日本のEUからの輸入では、衣類の関税(4・4%〜13・4%)は即時撤廃されている。
これもEU離脱で英国からの輸入関税は元に戻る。

英政府は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も検討しており、日本政府も支持している。
ただ、TPPに参加するには日本以外の他の10カ国とも交渉が必要となり、さらに時間を要する。
このため、日英両政府はまずは2国間のEPA交渉に注力する。