殺人罪で服役した元看護助手、無罪確定的の再審公判3日から 冤罪つくられた経緯解明なるか

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、男性患者の人工呼吸器を外して死亡させたとして殺人罪で懲役12年が確定し、服役した元看護助手西山美香さん(40)の裁判をやり直す再審公判が3日、大津地裁(大西直樹裁判長)で始まる。検察側は有罪立証を事実上断念し、西山さんの無罪は確定的となっており、「冤罪(えんざい)」が作られた経緯が解明されるかが注目される。被告側が請求する刑事事件の再審公判は京滋で初めて。

 西山さんは、男性患者の死亡から1年以上が過ぎた04年7月、「呼吸器のチューブを外した」と殺害を自白して逮捕された。公判では「取り調べた刑事に好意を抱き、虚偽の自白をした」として一貫して否認した。しかし、05年の一審判決は、職場待遇の不満から病院に恨みを抱き、事故を装って患者を殺害した、と有罪認定し、07年に最高裁で確定した。
 弁護側は10年に再審請求を開始。第2次再審請求で大阪高裁が、患者は自然死が疑われ、自白の信用性も疑義があるなどとして、17年12月に再審開始を決定し、19年3月に最高裁で確定した。翌4月に始まった再審公判に向けた三者協議では、検察側が当初の方針を10月に一転させ、有罪立証を事実上断念する意向を示した。
 滋賀県警の捜査を巡っては、確定審段階から、自白を誘導したり、初公判前に捜査員が接見して「否認しても私の本意ではない」という趣旨の検察官宛ての手紙を書かせたりしたことなど、不当性が指摘された。三者協議開始後は、県警が西山さんに有利な証拠を大津地検に送致していなかった事実も明らかになった。
 再審公判は、3日に冒頭手続きや西山さんの被告人質問、10日に検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論を行う。判決は3月31日に言い渡される予定。
 日弁連が支援し、再審公判が開かれた刑事事件は全国で今回以外に17件で、全て無罪が確定している。

西山さんの再審を巡る経過と見通し
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2020年2月2日 18:44 京都新聞