現在は民間人である旧宮家の人たちに(たとえ本人の同意があったとしても)、
いきなり皇族の身分を与える形の「皇族復帰」は、特定の門地の出身者に特権を与えることになり、
憲法十四条に抵触して、実行は難しいだろう。

しかし男子の後継者おらず、このままでは断絶が確定的な既存の宮家(常陸宮、三笠宮、高円宮)に
養子として迎えた上で、(民間出身の女性が男性皇族と結婚した場合と同様に)皇族の身分を与える形なら、
法律上「養子の対象は旧宮家出身者に限定する」などと明記しない限り、憲法に抵触することなく、
皇室典範第九条の改正だけで対応可能だ。その上、現行の皇室典範は憲法改正のような複雑な手順を必要とせず、
一般の法律と同様に国会の議決だけで改正することができる。

婚姻と同様に養子縁組はあくまで当事者同士の合意に基づくものだ。だから、法律上、血統や家柄によって
養子相手が制限されていなければ(形式上、「だれでも養子になれます」という形になっていれば)、
あとは双方の合意さえあれば、皇族がだれを養子にするかの選択は自由で、結果として旧宮家の男系男子を
養子にしたとしても、その行為自体は(皇室典範の改正は必要だが)、憲法が禁止する門地による差別にはあたらない。

そして皇族が養子をとる際には、皇太子妃選びと同じプロセスで、まず内々で天皇が許可を出し、
その上で皇室会議にはかられ、会議の承認が必要という安全装置を置けばいい。

そうしておけば、法律の条文に「養子は旧宮家の男系男子に限定」と明記しなくても、
皇太子が反社会的勢力の組長の娘と結婚する可能性と同じくらいに、
皇族が得体のしれない一般人や外国人を養子にする可能性は低くできる。

皇室典範第九条
(現) 天皇及び皇族は、養子をすることができない。

(改正案) 天皇及び皇族は、養子をすることができる。但し、皇室会議の議を経ることを要する。