東電に1200万円賠償命令 避難区域外住民の精神的苦痛認める 福島地裁
毎日新聞2020年2月19日 18時32分(最終更新 2月19日 18時32分)
https://mainichi.jp/articles/20200219/k00/00m/040/188000c

 東京電力福島第1原発事故で被ばくの不安にさらされ、精神的苦痛を受けたとして、福島市など避難指示区域以外の住民52人が東電に総額約1億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、福島地裁は19日、東電に対して50人に2万2000〜28万6000円、計約1200万円を支払うよう命じた。
 遠藤東路(とうる)裁判長は住民が避難したかどうかにかかわらず「先の見通しのつかない不安や、生活環境が変質して精神的苦痛を受ける点は同様」と指摘して賠償を認めた。東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」としている。
 原告は福島県中通り地方の6市町に住む男女。東電からは精神的苦痛に対する賠償として大人1人あたり12万円が支払われたが、精神的損害は個人で異なるとして、1人当たり約110万〜910万円の支払いを求めて2016年4月に提訴。地裁は19年12月、裁判の長期化を望まない住民側の求めに応じ、原発事故を巡る集団訴訟で初とみられる和解案を示したものの、東電が拒否していた。
 判決は原告のうち2人については裁判外紛争解決手続き(原発ADR)で慰謝料が支払い済みとして請求を棄却した。【寺町六花】