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 横浜港に停泊中で新型コロナウイルスの感染が広がっているクルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」にはフィリピン人乗員乗客538人が乗船していた。

 比保健省によると、18日までに新たに比人16人の新型コロナウイルス感染が判明、クルーズ船の比人感染者総数は27人となっている。船内では感染がなお拡大、乗員乗客3700人のうち感染者総数は18日時点で454人に上っている。

 米国は同船の米国人乗客を帰国させるためチャーター便を飛ばし、同国の乗客は17日までに帰国した。カナダ、香港、オーストラリアも自国・地域の乗客を航空機で帰国させる準備を進めている。比政府も船内で未感染の500人以上をチャーター機などで帰国させることを検討しているが、帰国者の一時隔離施設をどこにするかなどが詰め切れておらず、具体的な帰国支援の日程などはまだ目処が立っていない。

 日本船主協会によると、クルーズ船を含む世界の商船で船員として働く人は約120万人。うち、国・地域別ではフィリピン人の約23万人が最も多く、2番目に多いインドネシア人と中国人の約8万人を大きく引き離している。

 今回のダイアモンド・プリンセスに乗っていた比人538人も乗客7人を除いてみな船員や船内のサービス係などの乗員だ。

 ドゥケ保健相は17日、日本で治療を受けている感染者を除き、残り全員を帰国させる方針を示したが、現段階では「500人を一度に隔離できる施設の準備が整っていない」としている。

 比政府は中国・湖北省武漢市で滞在していた比人海外就労者(OFW)らの帰国支援便を送っているが、この便に乗って帰国した比人は32人だけだった。

 日本政府やクルーズ船運営会社からは比政府主導で比人を帰国させてほしいとの要望が比側に伝わっており、武漢からの帰国者が現在も隔離されているタルラック州カパス町のニュークラークシティーなどが隔離施設の候補に挙げられている。

 しかし、保健省のベルゲイレ次官は17日「いくつかのプランがあるが、現在はそれを実行するための議論を続けている段階だ」と述べており、比人の帰国支援実施までにはまだ時間がかかりそうだ。

 クルーズ船からの乗員乗客の下船は19日から順次始まる。500人を超す比人乗員らが下船した場合、日本での当面の滞在場所がどこになるのか、帰国費用は誰が負担するのかなども不透明なままだ。(石山永一郎)

2020.2.19
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