→コロナ19の表面にあるスパイクの3次元構造が明らかになった
→コロナ19はヒトの細胞にスパイクを使って侵入する
→コロナ19はサーズより20倍、ヒトの細胞にくっつきやすい

世界各地で猛威を奮っているコロナウイルスですが、ワクチン開発につながる大きな進展がみられました。
https://i1.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/02/ade9dae439bd5300176bced65aefedfc.png

米国の研究者たちによって、コロナウイルスの表面にある「スパイク」と呼ばれる、突起状のタンパク質の3次元的な構造が明らかになったからです。

スパイクはまるで「吸盤」のように外側に向けて広がった形をしています。

コロナウイルスによる感染は、この「吸盤」の上部分がヒト細胞にくっつくことで始まります。

またワクチンを開発するには、このスパイクの構造を理解することが必要不可欠となります。

スパイクの構造解析によって、抗ウイルス薬やワクチンの開発は進展するのでしょうか?

研究結果はテキサス大学のダニエル・ラップ氏らによってまとめられ、2月19日に学術雑誌「Science」に掲載されました。

Cryo-EM structure of the 2019-nCoV spike in the prefusion conformation
https://science.sciencemag.org/content/early/2020/02/19/science.abb2507.full

■コロナウイルスの感染方法

一般的に、ウイルスによる感染が成立するには、ウイルスの体がスパイクによって、細胞に結合する必要があります。
https://i1.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/02/85e6710f15303e5b7f1baa9bd27bc65f.png

結合した次は、コロナウイルスの表面分子の出番です。この表面分子にはヒト細胞を混乱させる働きがあり、混乱した細胞がコロナウイルスを自分の一部だと認識し、内部に取り込んでしまうのです。

細胞内への侵入に成功すると、コロナウイルスは自分の遺伝子を細胞の中に吐き出します。

コロナウイルスの遺伝子には、細胞の遺伝子をジャックする能力があり、ジャックされた細胞はコロナウイルスの生産をはじめるようになります。

そうして生産されたコロナウイルスは、細胞の外へと排出され、また別の宿主となる細胞を探すことになります。

■コロナウイルスの広まりやすさの原因か?

コロナウイルスのスパイク構造を解析するために、研究者は直接タンパク質の構造を撮影できるクライオ電子顕微鏡を用いました。
https://i0.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/02/2fc186390ff34937494a88f4c901873d.png

結果、コロナウイルスのスパイク構造はSARSと非常に似ていることが判明。

このことから、研究者はSARSの抗ウイルス薬が、コロナウイルスにも有効だと考えました。しかし実際に実験を行ってみると、SARSの抗ウイルス薬はコロナウイルスには全く効きませんでした。

コロナウイルスのスパイクたんぱく質の配列情報は、SARSのものと98%一致していたものの、僅かな変異で耐性を獲得していたのです。

さらにコロナウイルスは変異によって、結合力も進化させていました。

コロナウイルスのスパイクはSARSのスパイクよりも、ヒト細胞に対して10〜20倍の高い親和性(結合しやすさ)を持っていることが分かったのです。

研究者はコロナウイルスのこの高い結合力が、伝染力の高さに影響していると述べています。

続きはソースで

https://nazology.net/archives/52813