《朗報》
奇跡か==
「うそやろ」漂流女性を偶然の発見 漁船3隻が連携救助
波間に高齢の女性が立った状態で浮き沈みしていた。

朝日新聞社 2020/02/22 09:29

© 朝日新聞社 感謝状を受け取る森洋介さん(右手前)=2020年2月21日午前9時59分、
松山市の松山海上保安部、足立菜摘撮影
 海上を漂流していた女性を漁船3隻で協力して救助したとして、松山海上保安部は21日、3人の船長が所属する水産会社「森水産」(松山市)に感謝状を贈った。複数の漁船が一丸となっての救助活動は珍しいという。
 救助したのは、森水産の漁船船長の森洋介さん(44)、いとこの森建太さん(35)、鶴原正人さん(36)。1月18日の午前9時ごろ、松山市睦月(むづき)島の南方沖合で、それぞれの船に乗って漁をしていたところ、仲間の船から「人が流れている」と無線が入った。
 「うそやろ」。

当時、海はしけで波が高かった。洋介さんたちも近くを通っていたが、人には気づかなかった。
3隻が、操業中で救助できない仲間の船のもとへ駆けつけたところ、
波間に高齢の女性が立った状態で浮き沈みしていた。
 
 船べりの高さが一番低い洋介さんの船に3人がかりで女性を引き上げ、すぐに海保や救急に通報。
女性は意識はあったが、水を大量に飲み、衰弱していた。
 船脚が一番速い建太さんの船に女性を移し、陸へ急行。
鶴原さんは洋介さんに自分の船を任せ、女性に付き添った。
タオルで体をくるんで温めながら、「大丈夫か」と声をかけ続けた。
 岸壁に着くと、あらかじめ手配していた救急車に引き継いだ。

女性は約40分漂流していたといい、低体温症や肺水腫など重症ながらも一命を取り留めた。
 「沖合で、偶然船が通りかかって助かることはあまりない。
非常に的確で迅速な救助だった」と松山海上保安部管理課の岡崎哲也課長。
洋介さんは「できることを、できる範囲でしただけ。海に携わる者として励みになる」と話した。(足立菜摘)