米大統領選の民主党候補の指名争いでトップを走るバーニー・サンダース上院議員は27日、大企業の経営幹部の退職金に関わる課税制度の見直しを盛り込んだ法案をクリス・バンホーレン上院議員(民主、メリーランド州)と共に提出した。

 サンダース氏は近く会計検査院(GAO)が発表する報告書を引用。上場企業上位500社の幹部報酬繰り延べプランの資産総額が2017年時点で約130億ドル(約1兆4000億円)に上ったと指摘した。これは各社のトップわずか数人、全体で約2300人だけでのプランの総額だ。

 サンダース氏は発表文で「米国の裕福な企業幹部が無制限に税制面で特別待遇を受けて多額のドルを節約できる一方で、一般の労働者が401k(確定拠出年金)で(20年度は)1万9500ドル分しか税金を繰り延べられないのは理不尽だ」と述べた。

 この法案が成立すれば大企業は報酬制度の見直しを迫られそうだ。ただ、この構想は目新しいものでも、純粋に民主党のものでもなく、14年ごろから共和党内で浮上していた提案の焼き直しにすぎない。上下両院の共和党は17年11月の税制改革の際に同様の増税案を提出したが、企業側の反対を受けてすぐに取り下げた。

 現行制度では繰り延べ報酬に課税されるのは受け取り時だが、サンダース氏は繰り延べ報酬を没収される大きなリスクがなくなり次第、課税することを提案している。

 報酬制度に詳しい専門家の見方では、報酬を受け取る前に課税されるより、すぐに受け取る方を選ぶ幹部が多い見通し。ニューヨークの税務コンサルタント、ロバート・ウィレンズ氏は「繰り延べ報酬という概念は消滅するだろう」と語った。

 サンダース氏はストックオプション(自社株購入権)への課税方法も変えようとしている。現在は税金が発生するのはオプション行使時だが、同氏の案では報酬の多い従業員(20年は13万ドル以上)を対象に、オプション行使を決めた場合は行使前でも権利確定時に課税する。従業員は株式売却益を得られなかった場合でも、所得税が増えることになる。企業も株式報酬制度の見直しで対応に回りそうだ。

2020 年 2月28日 06:58 JST
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