また嘘をつくのか。

新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツイベントが次々に中止や延期、無観客試合になることが発表されている。最も気になるのが5カ月後に迫った東京五輪(7月24日〜8月9日)だ。

25日のAP通信によれば、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員(77=カナダ)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の開催可否の判断は5月下旬が期限になるとの考えを示した。

2002年から03年に流行し、800人以上の死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)は、発症例報告から終息宣言までに約8カ月を要した。それを参考にすれば、今回の新型ウイルスの終息宣言が出るのは今年8月という見方もある。感染の拡大は7月に収まっても、五輪を開催するか、中止にするかの判断はギリギリまで待てない。パウンド委員の言う「5月末」でも遅いぐらいだ。

スポーツライターの津田俊樹氏はこう言う。

「仮に5月末に終息宣言が出たとしましょう。IOCと話し合い、組織委員会が世界に向けて『五輪は予定通り行います』と発信しても、どれだけの国が来日するでしょうか。クルーズ船の長期隔離、下船後の公共交通機関の帰宅許可、検査体制も韓国よりはるかに劣っていることが露呈した。新型ウイルスに対する政府対応はすべてにおいてスピード感がなく、それは国内だけでなく世界からも厳しい目が向けられている。

例えば25日のロイター通信は、『新型ウイルス対応策の陣頭指揮を執っていない安倍首相はどこにいるのか?』と批判している。熱や咳が出て『もしかして……』と思う人も、今は(PCR)検査を受けることができない。国民は不安を募らせ、重篤患者は毎日のように命を落としている。医療崩壊していると言っても過言ではない国です。自国民さえ守れない国が、外国人の安全を保証できるわけがない。そんな国が『世界の皆さん、安心して日本に来てください』と言っても、誰が信用できますか」

東京五輪招致でも世界に向けて「ウソ」

安倍首相には「前科」がある。東京五輪招致の際、原発事故の汚染水の問題が解決していない最中に、「福島は制御しています。私が保証します」と世界に向けて平然と嘘をついた。今回も国民が未曽有の危機に直面しているのに正面から向き合わず、加藤厚労大臣に丸投げだ。こんな首相なら五輪開催を強行するため、終息宣言の「前倒し」までやりかねないのではないか。

ビジネス評論家の菅野宏三氏もこう語る。

「東京五輪の経済効果は30兆円ともいわれている。中止になった時の影響を考えると恐ろしくなる。政治家の危機感は私の比ではないはずです。ところが、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を小泉進次郎環境相、森雅子法相、萩生田光一文科相らが後援会の新年会などで欠席した。危機的状況にある日本で、政治家はどう動いているのか世界は見ています。今回の杜撰な対応で日本という国に対する考えを改めた国や人は多いのではないか」

■広がるウイルスの危険と日本への不信感

政治家だけでない。東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(76)は2月に入り、海外メディアが東京五輪の中止などに言及するようになると、「大会は予定通り」と語った。

「それを英デイリーテレグラフ紙は、『子供のようだ=childlike』と報じた。私は根拠もなく、単にやる、やると言っている『駄々っ子』と読んだ。東京五輪の開催については世界が懸念している。ならば、『予定通りやります』ではなく、『新型コロナウイルスの感染は今も広がっています。心配するアスリートは世界にたくさんいるでしょう。組織委員会は選手の安全のためにこんなことを考えています』と具体策を示さなければ何の意味もない。1980年のモスクワ五輪は東西冷戦下で、政治的な問題から日本は米国に追随してボイコットした。今回は仮に開催が決まったとしても日本に対する不信感からボイコットする国が出てくるのではないか」(前出・津田氏)

2月19、21日に行われる予定だった西武対台湾・統一の交流試合は、新型コロナウイルスの影響を理由に先方から「中止したい」と、“ドタキャン”された。サッカーU―23日本代表と親善試合(3月27日京都)が組まれていた南アフリカの協会も同じ理由で対戦を拒否、選手の派遣を取りやめる意向を示している。女子サッカーU―20の日本代表対ドイツ戦(埼玉)も中止が決定。「危ない、信用できない」というレッテルを貼られた国なら、この流れは東京五輪まで続くだろう

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200229-00000009-nkgendai-spo
2/29(土) 9:26配信