【AFP記者】新型コロナウイルスめぐるデマとの闘い


https://www.afpbb.com/articles/-/3271893


【記者コラム】新型コロナウイルスめぐるデマとの闘い
2020年3月6日 12:00 
発信地:香港/中国 [ 中国 中国・台湾 ]


【3月6日 AFP】香港に住む私の友人の友人が最近、新型コロナウイルスが人から人へ飛沫(ひまつ)感染するなんて信じない、と言ったそうだ。使い捨てマスクをしながら、同僚たちに皮肉でなく自信たっぷりにこれを語ったのは、若くて教養もキャリアもある男性だった。その主張の出所はどこか。メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」のグループチャットに書きこまれた、無名の医師の言葉を引用したメッセージだ。この話を友人から聞いたとき、私はあぜんとした。教養もキャリアもある人が、こんな露骨な誤情報に引っかかるなんて。

 世界は新型コロナウイルスの地球規模の大流行に耐え忍んでいる。COVID-19を発症させるウイルスは今や、60か国以上に拡大している。同時に、インターネット上ではウイルスに関する誤情報が大流行している。ソーシャルメディアのユーザーが誤解を招く報道や陰謀説を共有しているのだ。

 私はファクトチェック(真偽検証)の仕事をしているので、誤情報には慣れている。たいていはインターネット上で飛び交い、大ニュースが出るとほぼ必ず急増する。誰でもそれに引っかかる可能性はある。私も今回の感染拡大で改めて目にしているところだ。

 プラス面は、誤情報が氾濫することで、香港のファクトチェック班の私や同僚らの仕事が決して暇にならないことだ。私はアジア太平洋地域の10の国・地域の記者や編集者のチームと仕事をしている。私たちは毎日、ファクトチェックの公式ブログとツイッター(Twitter)に記事を載せる。少なくとも過去1か月間は、取り扱うニュースのリストはCOVID-19に関する誤情報に占められていた。私たちは世界中で、英語だけでも数十件のがせネタを暴いた。アジアの私の担当地域は特に多忙だった。

 私たちが取り組んだのは、予防法や治療法とされる怪しい助言や、さまざまな都市や国の新たな感染例についての虚偽報道、このウイルスの発生源に関する陰謀説と中国における対応状況、さらに医師がどのように感染の広がりを予想しているかについてのとっぴな主張など、すべてだ。悲しいことに、誤情報の波には決まって、中国人とその文化を嫌悪するコメントが伴う。このウイルスが何か、中華民族に生まれついているかのように不当に示すのだ。
(リンク先に続きあり)