野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が昨年1月、自宅浴室で死亡した虐待事件で、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判の論告求刑公判が9日、千葉地裁(前田巌裁判長)で開かれ、検察側は「心愛さんの母親などの証人の証言は十分に信用でき、虐待行為で死亡させたことは明らか。凄惨(せいさん)で非道な犯行で、拷問と表現してもいい程」として懲役18年を求刑した。判決は19日に言い渡される見通し。
 
  勇一郎被告はおととし12月30日〜昨年1月3日ごろ、自宅で、心愛さんに暴行して胸骨骨折などのけがを負わせ、22〜24日には食事を与えず、シャワーで冷水を浴びせ、飢餓や強いストレス状態にさせて心愛さんを死なせたなどとして起訴されている。
 
 2月21日の初公判で勇一郎被告は、傷害致死罪の成立は争わないとしながらも「シャワーで冷水を浴びせ続けるなどの暴行をしたことはない」などと起訴内容を一部否認。弁護側は教育が行きすぎた行動となっただけで「日常的な虐待があった訳ではない」と主張していた。
 
 勇一郎被告は今月4〜6日の被告人質問で、心愛さんの死亡は「私の虐待行為も原因の一つ」と述べ「心愛の未来を奪ったことに対して謝りたい」とも話した。一方、検察側が指摘した心愛さんが死亡する直前の暴行を巡り、肺にあった水については「心当たりはない」とし、全身のあざも「暴れるのを押さえたときにできた」と説明していた。
 
 心愛さんの母親(33)は、勇一郎被告の暴行を制止しなかったとして傷害ほう助の罪に問われ、昨年7月に懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の一審判決が確定している。
 
 事件を巡っては、心愛さんが勇一郎被告からの暴力を訴えた学校アンケートのコピーを、市教育委員会が勇一郎被告に渡していたなどの問題が発覚し、行政側の対応に批判が集中した。

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