世界保健機関(WHO)が2020年3月11日(現地時間12日)、新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的な流行を意味する「パンデミック」の状態だと認定したことを受け、世界各国の政府は対応方針を改めて説明した。

そんな中で、日本ではおなじみの「状況はコントロールされている(the situation is under control)」という言葉を使って説明したのが、シンガポールのリー・シェンロン首相。11分半にわたるビデオメッセージで、「1年か、それ以上かもしれない」とする認識を示した上で、今後の対応策、国民に求めることなどを語った。

「重症者にリソースを集中させて対応のスピードを上げ、犠牲者の数を最小化」

日本の厚生労働省のまとめによるとシンガポールでは、3月11日時点で178人の感染を確認。死亡者は出ていない。新型コロナをめぐっては、リー氏が2月8日、ヘン・スイキャット副首相兼財務相が2月16日にビデオメッセージを出している。WHOのテドロス・アダノム事務局長は3月9日の記者会見で、ビデオメッセージについて「全省庁を挙げた取り組みの好例」で、「リスクを説明し、国民を安心させるのに役立っている」などと評価している。

リー氏が3月12日に出したビデオメッセージでは、WHOの「パンデミック」宣言を受け、現状認識について

「(8か月ほどで収束した)SARS(重症急性呼吸器症候群)とは異なり、大流行はしばらくの間続くだろう。1年か、それ以上かもしれない」
「すでに中国、イラン、韓国、イタリアには渡航制限を行っている。一時的に、さらに強化せざるを得なくなるだろうが、完全にシンガポールと世界を隔絶させることはできない」

などと発言。感染拡大が長期化し、さらに感染者数が増える可能性に言及した。

国民に対しては、個人の衛生状態を保ったり人混みを避けたりする「基礎的な事柄」の励行を求める一方で、仮に感染者数が大幅に増加した際の対応策にも触れた。

感染者が増えれば、現在のように全員を入院させて隔離することはできなくなると指摘。感染者のうち80%は症状が軽いことから、リー氏によると、高齢者や基礎疾患があって重症化しやすい人のみを入院させ、そうでない人は自宅などに隔離することが「賢明」。こうすることで「重症者にリソースを集中させて対応のスピードを上げ、犠牲者の数を最小化したい」とした。

「中国、韓国、イタリアのように都市を封鎖することはないだろう」

感染者数が大幅に増加した場合は、一時的な休校、労働時間の調整、テレワークの義務化などを余儀なくされる、とも説明。こういった施策が感染のペースを下げて医療崩壊の回避につながるとして

「状況が改善すれば、対応を緩和して基本的な予防策に戻れる」

などと理解を求めた。

その上で言及したのが「アンダーコントロール」だ。

「しかし、これは強調させてほしい。シンガポールの状況は引き続きコントロールされている(But let me emphasise this: the situation in Singapore remains under control.)。感染症警戒レベルの「赤」(編注:4段階中最も高いレベル。今は上から2番目の「オレンジ」)にはならない。中国、韓国、イタリアのように都市を封鎖することはないだろう。現時点では、さらに厳しい対応の一部を前もって計画、試行し、実際に行う必要が出てきた時のために、国民の皆さんに備えてもらっているところだ」

安倍首相の「ぶら下がり」は50秒

経済対策にも言及。すでに産業界向けに40億シンガポールドル(3000億円)の経済対策を打ち出しているが、事態が進展していることから「さらに対応が必要かもしれないことは理解している」。ホテル、航空業界、サービス業、フリーランスの状況が特に深刻だとして、第2弾の経済対策を表明した。

一方、安倍晋三首相は2月29日に新型コロナウイルスについて記者会見したほか、WHOの宣言を受けて3月12日にぶら下がり取材に応じ、

「国内における対応については、国民の健康・命を守るためにあらゆる手立てを講じてきた。今後、警戒を緩めることなく必要な対策は躊躇(ちゅ

2020年3月13日 19時0分  全文はソース元で
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