一度も米国を離れたことがないのに、目覚めたらブリティッシュ・アクセントの英語を話すようになっていた──。ある米国人の女性が、こんな不思議な体験をした。だが、これはれっきとした医学的疾患であり、同じような状況に陥った人は世界中にいるという。そして、患者たちはある共通の「体験」をしていた。

「わたしの話し方は、メアリー・ポピンズのようです」。

これは、テキサス州出身でアリゾナ州に住む45歳の画家、ミシェル・マイヤースが、自身の陥った極めて特殊な状況について、米テレビ局の取材に答えて用いた言葉だ。

彼女はその数日前、ひどい偏頭痛に襲われて眠りについた。その後、目を覚ますと、一見、説明がつかないことが起きた。これまでの人生で一度も米国を離れたことがなかったにもかかわらず、突然、とても強いブリティッシュ・アクセントで話し始めたのだ。

少し冷淡な英国の家庭教師、メアリー・ポピンズを引き合いに出したのはこのためだ。「悲しいことです」と彼女は説明した。「自分が違う人間になったような気がします。7人の子どもたちの名前を、これまで発音していたように呼べないのです」。

ミシェルを診察した専門家たちは、彼女が嘘をついているわけではないと確信している。実際、非常に珍しい神経機能障害である、「外国語様アクセント症候群」と診断した。文献によると、「本人の母語とは異なり、それまで習得したことも、そのアクセントに触れたこともない外国語のような言語パターンをみせる、医学的状況」だという。

外国語様アクセント症候群は、英語の「Foreign Accent Syndrome」の頭文字を取って、「FAS」とも呼ばれる。あまり知られていない病気だ。1907年にフランスの神経科医、ピエル・マリーによって初めて公にされた。

︎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
引用ここまで。全文は下記よりご確認ください。
https://wired.jp/2018/03/08/foreign-accent-syndrome/