2月下旬、スペイン南部の中心都市セビリア(人口はスペインで4番目に多く約690万人)に降り立ったときには、日本での騒ぎと違い、のんびりしたものだった。

人気バルに人だかりができ、べシートと呼ばれる両ほほキスで挨拶し、唾がそのまま飛んできそうな近い距離で会話を楽しむ。

ちなみに、日本ではレストランや居酒屋などでは必ずおしぼりが提供されるが、欧米諸国ではそのような習慣はない。

そしてセビリアで見た限りでは、食事前に手を洗おうとするような習慣もない。

世界的に新型コロナウイルス騒ぎが大きくなっても、特に自分たちの習慣に気を遣っている様子はなかった。

かなり呑気に構えていたセビリア

2月にはすでにイタリアでは新型コロナウイルス感染症が急速に広まり、感染者数、死亡者数ともに凄惨な状況になっていたが、セビリアでは「どこか他人事」のように捉えている節があった。

日本出国前はいろいろな人から「ヨーロッパはコロナによる人種差別がひどいのでは?」と心配されたが、アジア人差別も特に表立って受けたことはなかった。

3月第1週くらいまでは、コロナの話題をちらほらと耳にしつつも、セマナ・サンタ(キリスト復活祭)やフェリア・デ・アブリルと呼ばれる春祭りも決行する雰囲気が漂っていた。

セマナ・サンタでは大きな山車を担いで街を歩くため、数日前まで大人数で練習をしている光景もよく目にしていた。

しかし、3月の2週目に入ると事態は一転した。

3月13日、「ESTADO DE ALARMA(緊急事態宣言)」が翌日から発令されいう発表があり、街の雰囲気が一瞬にして変わってしまったのだ。

街の施設が軒並みクローズ

セビリアのフラメンコ教室やタブラオ(フラメンコショーを見る場所)は3月13日をもって軒並みクローズ。

フラメンコ教室は、1か月後の4月13日に再開を予定しているところが多いが、どうなるかは誰にも分からない。

3月12日までは普通にレッスンし続ける雰囲気だったのだが、3月13日に発表があってから即クローズすることが決まってしまった。

スペインでは挨拶にべシート(両ほほにキス)する習慣があるのだが、フラメンコの先生が「コロナのせいでべシートはできないけど、みんな元気でね」と言って3月のレッスンは終わった。

ただ、フラメンコ教室はクローズになったが、現在、スペイン語学校は授業をストップする予定はないそうだ。

しかし、例年はイタリア人の生徒がかなり多かったそうだが、現状はイタリア人生徒はほぼゼロで、生徒の総数がかなり減っているという。

スーパーの棚もほとんどカラ

3月14日からバルやレストランもすべて閉まってしまうという情報があったため、3月13日の夕方、食料を買い込むためスペインで最も大きなスーパーマーケット「Mercadona」に向かった。

しかし、時すでに遅し。野菜や肉、魚はほぼすべて売り切れ。

冷凍食品や、出来合いの惣菜が多少残っていたため、それらを買って家に戻った。ちなみに、トイレットペーパーが早々に売り切れるのは全世界共通らしい。

手に入らないので、しばらくは手持ちのトイレットペーパーを大切に使うほかない。

街から人が消えた

そして「ESTADO DE ALARMA」発令当日(3/14)、街から人が消えてしまった。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59739?page=3
2020.3.16(月)川嶋 沙瑛子

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