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再開発計画が相次ぐ名古屋・栄の地価が復権している。18日に発表された公示地価で、名古屋三越栄店が入居する「オリエンタルビル」の土地が1平方メートルあたり1160万円として、5年間2位だった名駅の地点を追い抜き、中部6県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)の商業地で単独2位に再浮上した。価格の算出を担当した不動産鑑定士の小森洋志氏は「栄と名駅の地価上昇の勢いが逆転したとみている」と語った。(中野祐紀、中山梓)

 三越の土地は、中部一の繁華街・栄の象徴として1983年以来4半世紀にわたってトップを守り続けていたが、2008年、JRセントラルタワーズの開業など高層ビル化が先行した名駅地区の近鉄パッセ(名古屋近鉄ビル)にその地位を譲った。16年には名駅の「第三堀内ビル」に抜かれて3位まで後退した。

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ただ、近年は、久屋大通を挟んで向かい合う中日ビルの建て替えや市有地「栄角地」の開発計画が始動するなど、栄地区でも高層ビルを含む再開発の動きが活発化。19年秋には三越が入るビルそのものの建て替え構想も明らかになった。三越は19年の公示で1050万円として第三堀内ビルと2位タイで並び、今年はさらに10.5%値を上げて単独2位になった。小森氏が「勢い逆転」と見る通り、堀内ビルの伸び率は7.6%にとどまった。

 オリエンタルビルの平松潤一郎社長は「ここ何年も栄の地価は名駅前に大きく差をつけられてきたが、やっと反転の兆しが見えてきた」と喜び、「建て替えの動きを加速させたい」と語った。

 栄地区では事業所が入居するオフィスビルの人気も高まっている。オフィス仲介の三幸エステートによると、今年2月現在の空室率は、一般に不足感があるとされる5%を大きく下回る1.9%。同社が統計を取り始めた1994年1月以降で初の1%台となり、名駅地区と並んだ。

 一方で、昨今深刻化している新型コロナウイルス感染拡大の影響次第では、不動産需要の先行きは不透明になる。同社名古屋支店によると、3月に入り、名古屋への進出やオフィス移転を検討中の東京、大阪の企業による物件の見学が複数キャンセルや保留になった。妹尾哲也支店長は「経済の減速が鮮明になれば、賃料の高い都心部のオフィスを求める社が減る可能性がある」と話した。

(2020年3月19日)
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