カナダで発見された約3億8000万年前の化石に基づく、両生類に進化途中の魚「エルピストステゲ・ワトソニ」の想像図。胸びれの先端骨格が「指」に変わっていた(オーストラリア・フリンダース大提供)
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 カナダ・ケベック州東部にあるミグアシャ国立公園の約3億8000万年前(デボン紀後期)の地層から、胸びれの先端骨格が「指」に変わっている魚の化石が見つかった。水中から陸上に進出し、両生類に進化する途中とみられる。浅瀬や岸で胸びれを「前脚」として使う上で、細かい指の方が体を支えやすかったと考えられるという。

 カナダのケベック大とオーストラリアのフリンダース大の研究チームが20日までに英科学誌ネイチャーに発表した。鋭い歯があり、当時の浅瀬では最大級の肉食動物だったとみられる。

カナダで発見された約3億8000万年前の魚「エルピストステゲ・ワトソニ」の化石(写真上。長さ1メートル57センチ)と図解。胸びれの先端骨格が「指」に変わり、両生類に進化途中だった(オーストラリア・フリンダース大、ネイチャー誌提供)
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 この化石の学名は「エルピストステゲ(属)・ワトソニ(種)」。同公園の地域で1938年に初めて化石が発見された際は頭骨の一部しかなく、原始的な両生類とされた。しかし、2010年に長さ1メートル57センチのほぼ全身がそろった化石が見つかり、魚ではあるが両生類に向けた進化が始まっていることが分かった。

 カナダ北部エルズミア島の約3億7500万年前の地層からも、両生類に進化する途中の魚「ティクタアリク(属)」の化石が見つかっている。エルピストステゲの胸びれをコンピューター断層撮影(CT)で詳しく調べたところ、先端骨格がティクタアリクより細かく指のように分かれ、両生類に近づいていた。

両生類に進化途中の魚「エルピストステゲ・ワトソニ」の化石のうち、胸びれ部分(写真左)とコンピューター断層撮影(CT)による骨格図解。先端が「指」に変わっている(オーストラリア・フリンダース大提供)
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 魚と両生類の線引きは難しくなり、研究チームはエルピストステゲを最も原始的な両生類に分類することもできると指摘している。

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