0001花火祭り ★
2020/03/21(土) 08:24:09.57ID:fsHRWp6o9ブラックホールと聞くと、手当たり次第に周囲のものを吸い込む宇宙の破壊者のようなイメージがあるが、いて座A*についてはそうではない。少なくとも、周囲の物質をむさぼり、とんでもなく明るく輝く銀河核「活動銀河核」には分類されていない。
ところが、このほど、いて座A*のX線フレアがここ数年で増加していることが確認されたそうだ。
リエージュ大学(ベルギー)の研究者を中心とするグループの観察によれば、2014年8月31日以来、明るいフレアが生じる頻度は3倍に増えたとのことだ。
高エネルギーのフレア発生率が増加
2017年、同研究グループは、XMM-ニュートン、チャンドラ、ニール・ゲーレルス・スウィフトが1999〜2015年に観測したいて座A*のX線データを分析。2014年8月以降もっとも明るいX線フレアが増加していること、ならびに2013年8月以降もっとも暗いフレアが減っているという結果を発表した。
そして今回は、こうした傾向が現時点でも続いているのかどうかを確かめるために、2016〜2018年のデータ分析も試みられた。
その結果、前回検出された合計107のフレアに加えて、さらに14のフレアが検出されたという。合計では121のフレアが観測されたことになる。
なお、今回の研究では前回の分析手法と併せて、それを修正した手法での分析も行われている。ここからは前回発表された「暗いフレアの発生頻度が減っている」という結論は間違っていることが判明したという。
それでも、全体的な結論は変わらないとのことで、もっとも明るく、もっとも高エネルギーのフレアはどうやら増加している模様だ。
いて座A*に異変が?
この2つの研究は、X線フレアのみを分析したものだが、いて座A*に何か異変が起きていることは窺える。
実際、昨年には、このブラックホールにおいて、通常より75倍も明るい近赤外線フレアが観測されている。この波長においては観測史上最大の明るさだ。
また2003年以降に観測された133の夜の分析からは、3つの夜でいて座A*の近赤外線フレアの活動が上昇したことが確認された。これは歴史的なデータと比べると前代未聞のことであるそうだ。
さらに2019年の観測でも4つの明るいフレアが検出されている。一度の観測セッションで検出されたものとしては最大の回数で、同ブラックホールがまだ落ち着いていないことの証左であるようだ。
異変は今後も続くのか?
こうした事態の原因が何で、今後も続くのか? これらについて結論を出すには、さらに複数の波長の観測データが必要になるそうだ。
さしあたってはいて座A*が地球から2万6000光年離れていることを覚えておこう。この異変が人類を滅亡に追いやるようなことはない――はずだ。
この研究は『Astronomy & Astrophysics』に受理されており、現時点(3月19日)では『arXiv』で閲覧することができる。
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