政府は23日、新型コロナウイルスの感染拡大で「緊急事態宣言」を出す場合に備えた「対策室」を内閣官房に設置する。安倍晋三首相は宣言に慎重な姿勢を示しているが、宣言した場合に地方自治体などとの膨大な調整が必要になるため、情勢の変化に対応できるよう事前に体制を整える。

 複数の政府関係者が明らかにした。新型コロナウイルスに関係した組織としては、内閣官房の新型インフルエンザ等対策室(20人規模)などがあるが、省庁間の調整が主な業務。緊急事態宣言が出されると、外出自粛や施設使用制限の要請・指示などの権限が都道府県知事に付与され、国と自治体の連携が重要になるため、自治体との連絡調整を担う専門組織が必要だと判断した。関係省庁の中堅・若手を幅広く兼務させる。

 緊急事態宣言は、13日に成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、新型コロナウイルスが国民の生命・健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるなどと首相が判断した場合に発令される。私権の制約を含むため、首相は発令の可否を慎重に判断する方針だが、海外各国は続々と緊急事態を宣言し、政府専門家会議も19日、適切な措置をとらなければオーバーシュート(爆発的な感染拡大)が起きると指摘していた。【宮原健太】

毎日新聞2020年3月23日 02時00分(最終更新 3月23日 08時52分
https://mainichi.jp/articles/20200322/k00/00m/010/185000c