国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪を延期する検討に入ったことを受け、日本政界には、衆院解散・総選挙が今夏から秋にも行われる可能性があるとの見方が浮上した。

 安倍晋三首相は、新型コロナウイルス感染の収束状況や景気動向も見極めながら、慎重に判断するとみられる。

 自民党の二階俊博幹事長は23日の記者会見で「五輪で政治日程が変わることはない」と強調した。ただ、安倍政権は国家的行事の東京五輪を中心に政治日程を組み立ててきただけに、延期となれば大きな影響を受けることになる。

 五輪が予定通りの開催なら、パラリンピック閉幕の9月6日までは衆院解散は難しいとの見方が支配的だった。首相が当面政権を維持すれば、来年9月末までの自民党総裁任期を残して今年中にも退陣し、「ポスト安倍」候補の岸田文雄政調会長に「禅譲」するシナリオが取り沙汰されていた。

 しかし、五輪延期となれば、今夏の政治日程に空白が生まれる。来夏の五輪実施なら、パラリンピック閉幕時期と、来秋の党総裁、衆院議員それぞれの任期満了が接近することから、今夏から来春ごろの衆院選の可能性が出てくる。1年の延期で、首相が五輪開会式への出席を目指せば、岸田氏への早期の禅譲は消えそうだ。

 解散・総選挙の最も早いケースとして想定されるのが、今年7月5日投開票の東京都知事選との同日選だ。報道各社の世論調査で内閣支持率が底堅く推移していることが背景にあり、二階派幹部は「首相の性格ならダブル選をやりかねない」と指摘。同党関係者も「都知事選の後か同時」とみる。

 首相が解散前に内閣改造に踏み切るとの見方もある。細田派の閣僚経験者は「首相が6、7月に改造し、秋口に衆院解散という話もある」と語った。

 ただ、新型コロナの感染拡大を抑え込むことができない限り、全国規模の国政選挙は難しい。自民党幹部は「今年は衆院選はできないだろう」と話す。さらに「コロナ不況」が深刻化すれば政権への逆風となりそうで、解散に踏み切りにくくなる。コロナ問題が解散時期を左右する情勢が続く見通しだ。 

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