田園風景が広がる兵庫県丹波篠山市
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 兵庫県内では21日時点で107件の感染が確認されている新型コロナウイルス―。同県内陸部の丹波篠山市ではいまだ確認されていないが、先週13日の金曜日、「感染者が出た」という情報が記者のもとに寄せられた。県や市からの発表はなかったが、情報提供者は、「出た」と断言したため、急きょ取材に走った結果、誤った情報だったことが判明した。感染拡大の状況を見ると、いつ発生してもおかしくはないが、真偽不明の情報が飛び交う原因には、「隣近所が顔見知り」という地方ならではの環境があり、不安を広げているようだ。

 一報を受けたのは、13日午後。丹波篠山市に隣接する同県丹波市在住の知人Aさんから、「丹波篠山でも出たな」と言われた。丹波市では今月9日に感染者1人が確認されている。

 感染者の情報は、検査を経て陽性が確認され次第、行政が発表する。Aさんから話を聞いた時点で、なんら発表はなかった。ただ、普段の取材では行政の発表よりも住民からの情報の方が速いケースもある。

 Aさんがどのようにして情報を得たのか確認したところ、丹波篠山市に住む友人Bさんから聞いたとのこと。その場で電話してもらった。

 Bさんの話をまとめると、「丹波篠山市在住の人で、『C』という会社に勤務している人が感染した」「C社はきょう、平日なのに会社を閉めている。感染者が出たからだ」―という内容だった。

 すぐに県や市に確認したが、「そのような情報は入っていない」と回答があった。

 そこでC社に出向いたが、確かに会社には誰もおらず、インターホンも電話も応答がなかった。

 別ルートで情報を集めたところ、C社は2月に社員旅行で海外に出向いていたことが分かった。▽感染者が出たという情報▽休業▽海外への渡航―。記者も「情報は正しいのではないか」と思い始めたが、公からの発表がなければ真偽は確認できない。

 その後、記者の知人から連絡が入った。知人はC社に勤務する知り合いがおり、情報を確認してほしいと依頼していた。

 判明した事実は、▽感染者は出ておらず、全員元気にしている▽海外に行ったのは事実だが、情報収集に努め、感染に注意する体制をとった▽きょう、休業しているのは年に何度かある一斉休業日だから―。

■近隣市で感染確認「出ても不思議ない」

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■複数人が同じ噂「間違いない」

 続いて、Dさんに連絡を取ったところ、13日に職場で出会った知人Eさんが話していたという。また、「今回の感染者は、大阪市で複数の感染者が出たライブハウスに行っていたという話もあった」という。

 Dさんは近くに住むBさんなら何か情報を知っているかもしれないと思って連絡した。この時点で、Dさんは、「出た」と断言せず、「こんな話がある」程度の伝え方だったというが、BさんからAさんへ、Aさんから記者へと情報が来たときには「出た」に変わっていたことが確認できた。

 Dさんは半信半疑の状態だったが、後日、市内の喫茶店で他の客がまったく同じ話をしている場面に出くわし、「間違いない」と確信を得たという。

 20日時点で、Eさん以降の情報保持者には連絡が取れていないため、なぜ、「C社の従業員が感染した」という話に至ったのか確認できず、噂の発信元を探る難しさを痛感した。

 しかし、BさんとDさんが、複数のルートから同じ情報を得ていることを考えると、相当数の人にこの噂が広がっているとみられる。

 ちなみに「ツイッター」で「丹波篠山 コロナ」で検索を掛けると、丹波市で感染者が確認された9日の翌日、「ついに丹波篠山でも出た」という投稿があり、17日にも同様の投稿がある。似た名前の別々の市を混同している可能性があり、いずれも別の投稿者が、「丹波市ではないか」と返信している。

■「田舎はすぐに個人が特定される」

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 市内のある男性は、「感染しても重症化するケースの方が少ないのはわかっているが、みんな『最初の感染者にはなりたくない』という思いが強い。なぜかというと、都会と違い、隣近所が知り合いの田舎は、すぐに噂が広がり、個人も特定されてしまう。『あの人が感染したらしい』と言われたら、自分だけでなく家族や親せきにも迷惑がかかる。それを恐れている」と話す。田舎特有のコミュニティーは助け合いにもつながるが、時として負の側面も顔をのぞかせる。(続きはソース)

3/22(日) 7:02配信
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