新型コロナウイルスの感染拡大により各地でロックダウン(都市封鎖)が広がる中、大規模な同時不況が世界を覆いつつある。ヒトとモノの動きが突然制限されて需要が蒸発し、企業業績の悪化が金融システム不安につながる負の連鎖が起きかねない。特に日本は東京五輪の延期で需要喚起の切り札を失い、「戦後最長の景気回復」の終わりと同時に正念場を迎えている。

「リーマン・ショックや東日本大震災を超える大逆風だ」−。日本百貨店協会の山崎茂樹専務理事はこう漏らす。3月の全国百貨店売上高は既存店ベースの前年同月比で4割減、訪日外国人の免税売上高は8割減と大幅ダウンを見込む。小池百合子東京都知事による不要不急の外出自粛要請で首都封鎖が現実味を帯び、小売店や飲食業を中心に打撃がさらに広がりそうだ。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、東京五輪の延期決定で予定通り開催された場合と比べ7〜9月期の実質国内総生産(GDP)が前期比年率1・6%程度押し下げられると試算する。訪日外国人客の増加や、スポーツへの関心の高まりに伴う個人消費の押し上げなどの関連需要が1年後に先送りされるためだ。

こうした危機感は無論、日本だけのものではない。国際金融協会(IIF)は日米欧の先進国が今年は軒並みマイナス成長に陥ると予測。頼みの綱だった米国経済が後退すれば新興国も崩れ、世界同時不況は避けられない。投資家の不安が急速に高まり株式などリスク資産を手放すパニックが市場を乱高下させている。

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は「景気後退は少なくとも金融危機と同程度か、さらに悪化する可能性もある」と警告する。各国は協調してワクチン開発を含む危機の封じ込めを急ぐが、コロナ禍の終息は依然見えない。

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3/26(木) 18:23配信