「事件は風化させない」 市長が自宅訪問 松戸女児遺体発見3年 
2020年3月27日
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リンさんの写真に手を合わせる本郷谷健次市長とレェ・アイン・ハオさん(左)=松戸市で

 松戸市のベトナム国籍で小学三年のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9つ)=が殺害され、遺体で見つかって三年がたった。父親のレェ・アイン・ハオさん(37)の市内の自宅を二十六日、本郷谷健次松戸市長が訪れ、遺影に手を合わせた。ハオさんは「リンちゃんを守れなかったことが本当に悔しい」と口を結び、本郷谷市長は「事件は風化させない」と誓った。

 今月十三日、リンさんが通っていた小学校で六年生の担任らが見守る中、ハオさんは校長からリンさんの卒業証書を授与された。「リンちゃんはみんなの心の中にいる。もし事件がなかったらリンちゃんが受け取っていたと思うと、とてもつらい」と振り返った。

 事件では、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた元保護者会長の渋谷恭正(やすまさ)被告(48)が千葉地裁で無期懲役の判決を受け、東京高裁で控訴審が続いている。ハオさんは「三年もたつのに、犯人に対し最終的な判決が出ない」と悔しさをにじませる。無罪を主張する被告側に強く反発し、損害賠償を求め、民事訴訟も起こした。

 事件後、転居やベトナムに帰国することも考えたが、リンさんと暮らしたこの場所に居続けることに決めた。ハオさんは「リンちゃんに会うため」に毎月必ず、我孫子市の遺体発見現場を訪れているという。「でもリンちゃんに会えない」と目を伏せた。 (林容史)