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【ニューヨーク=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)の総資産が史上初めて5兆ドル(約550兆円)を突破した。新型コロナウイルスの大流行に伴う金融市場の混乱を抑えるため、量的緩和を加速している。国債などの資産の購入額は連日で1000億ドルを超える。他の中央銀行を含め空前の規模で、金融システムの安定確保を進める。

FRBが26日公表した25日時点の総資産は5兆2542億ドルで、1週間で5860億ドル増えた。増加額は過去最大となった先週の3563億ドルを大きく上回った。2週間での増加額(9423億ドル=約103兆円)は、日銀のピーク時の年間増加額(約80兆円)をも上回る。

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FRBは国債市場の安定や銀行・企業の資金繰りを確保するため、15日に臨時で量的緩和の再開を決めた。15日時点では当面の購入量は国債を5000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を2000億ドルとしていたが、23日には「必要な量」に修正。市場環境に応じて無制限に購入する方針に変更した。

FRBは26日も金融機関から計1094億ドルの国債とMBSを買い取った。1日で1000億ドルを超えるのは5日連続だ。国債やMBSは3月の新型コロナの大流行に伴い、金利が極端に乱高下するなど不安定になっていた。国債やMBSの金利が不安定だと、経済活動やほかの金融資産にも大きな影響を及ぼす。FRBが大量に買い支えることで金利の安定を促すねらいだ。

FRBは金融機関に対して、短期資金の供給も拡大している。銀行や企業の間で短期資金を確保しようとする動きが強まり、金利に上昇圧力がかかっているためだ。FRBが国債などを担保に翌日物の資金を大量に貸し出すことで、資金の目詰まりを防ごうとしている。

世界でドルの需給が逼迫していることを受け、FRBは日銀など他の中央銀行と協調し、ドルを供給する仕組みも強化した。対日銀であれば、FRBと日銀がドルと円を交換し、日銀が日本の金融機関に対してドルを供給する仕組みだ。25日までの1週間でこの仕組みが2000億ドル強利用され、FRBの資産拡大につながった。

2020/3/27 5:45 (2020/3/27 6:02更新)
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