世界中で急速に感染が拡大する新型コロナウイルスについて、米ミシガン大学の中国人研究グループは、生命情報科学(バイオインフォマティック)の手法を利用して、「ウイルスがコウモリからセンザンコウを経由して人間に感染した可能性が高い」という研究成果を発表した。

新型コロナウイルスの起源をめぐっては、武漢市の医療チームが「SARS(重症急性呼吸器症候群)と同様に、コウモリが宿主だ」という論文を発表しているが、一方で「ウイルスは人為的に作られたもので、中国の研究所から流出した」と陰謀説を主張する声もある。

アメリカ化学会(ACS)が発行する科学誌『ジャーナル・オブ・プロテイン・リサーチ』に22日に掲載された報告によると、ミシガン大の生命情報科学チームは、新型コロナウイルスの表面から突き出ているスパイクというトゲに着目し、そのタンパク質の遺伝子構造を分析した。

その結果、スパイクタンパク質の4つの遺伝子配列がコウモリを含む他の動物のウイルスとも共通することがわかった。さらに新型コロナウイルスに感染したマレーセンザンコウと人間から採取したウイルスのDNAが、コウモリよりも高い91%の割合で一致したことから、ウイルスは最初の宿主であるコウモリから、センザンコウを中間宿主として経由し、人間に感染した可能性が高いと結論づけた。

この論文とは別に、科学誌『ネイチャー』に香港大学の研究者トミー・ラム博士が発表した報告でも、マレーシアから中国に密輸されたセンザンコウから新型コロナウイルスに関係する2種類のコロナウイルス群が発見されており、野生動物を生鮮食品市場で取引することの危険性が指摘されている。

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2020年03月27日 17時22分
https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/3/33618.html

他ソース
絶滅危惧種のセンザンコウ、新型ウイルスに似たウイルスを保持
https://www.bbc.com/japanese/52058902