日本、インド両政府がインド西部で進める日本の新幹線方式による高速鉄道建設計画で、日本側が提示した総事業費が、当初の1・8兆円から2・5兆円超に跳ね上がり、インド政府が「当初価格からの増額は一切受け入れない」として計画の継続に難色を示していることが日印両政府関係者への取材で明らかになった。受注を焦った日本側の無理な価格設定とずさんな見積もりが原因で、日本側の減額の余地は小さく、交渉は難航している。インドへの新幹線輸出は日本のインフラ輸出の目玉だが、原発に続いて頓挫する事態になれば、成長戦略の根幹が揺らぐことになる。

 高速鉄道は、日本の新幹線を導入し、インド西部ムンバイ―アーメダバード間500キロを最速で時速320キロ、最短2時間で結ぶ計画。土木事業はインド企業、新幹線システムは日本企業が請け負い、事業費の約8割を政府開発援助(ODA)による円借款でまかなう。

 日印両政府の関係者によると、2015年に協力覚書を締結した際、日本側は、総事業費を1・8兆円と算出。競合したフランス企業の1・2兆円に対抗するため、「相当無理をしてコストを抑制した」(外務省関係者)が、それでも割高となったため、インド企業への技術移転などでインドの製造業振興策「メーク・イン・インディア」に貢献する姿勢を訴え、安倍晋三首相のトップセールス外交で受注にこぎ着けた。

会員限定有料記事 毎日新聞2020年3月28日 21時44分(最終更新 3月28日 23時39分)
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