3月22日に「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN 〜K'FESTA.3〜」がさいたまスーパーアリーナで開催されました。K-1WORLD GPという大一番ということもありますが、前日の21日に西村康稔新型コロナ対策担当大臣がさいたまスーパーアリーナの管理者である埼玉県にK-1への自粛要請をするよう求めたことから、事態が大きくなりました。

ただ、国や自治体は「自粛要請」をするばかりで、その後のケアもなく、「丸投げ」になっている感があります。今回の騒動を振り返りながら、主に自治体の役割を考えます。(ライター・オダサダオ)

●自粛要請は会場経由で、直接のやり取りはなかったとの報道

まず今回の騒動を振り返ってみましょう。3月22日に「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN 〜K'FESTA.3〜」が開催されることは、コロナの感染が拡大する前から決まっていました。

コロナの感染が拡大する中、2月22日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が「これからの1〜2週間が急速な拡大に進むか収束かの瀬戸際」という声明を出し、24日に安倍首相は大規模イベントの自粛要請を出しました。

ここから多くのイベントが開催を中止するか、無観客での開催を余儀なくされました。しかし、K-1はホームページで予防策を講じる以外のことは伝えず、結果的に中止にしませんでした。

この間、毎日新聞の報道によると、埼玉県はK-1に自粛を求めていたそうです。しかし、3月22日に行われた中村拓己プロデューサーの会見によると、要請は会場(さいたまスーパーアリーナ)を通じて行われていたとのことで、直接のやり取りはなかったと言っています。

大会前日の3月21日に前日計量と記者会見が行われました。同日に共同通信と毎日新聞が、西村コロナ対策担当大臣が大野埼玉県知事にK-1への自粛要請を出すよう求めたと報じて、今回の事態となりました。

K-1の強硬開催は各方面に波紋を起こしました。3月19日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議と翌日の安倍首相の会見では、大規模イベントについては、「自粛」から「慎重な対応」というようにややトーンが緩くなっています。また、国民の中には長引く自粛への疲労もたまっており、気持ちが緩んでいるとも指摘されています。

そうした中で起こった今回の騒動は、緩んだ糸を引き締める効果を生みました。強行開催したK-1に対して、メディアは一斉に批判を浴びせました。東京都内での感染者拡大を受け、東京都は週末の外出自粛を促し、コロナに対する緊張を取り戻すよう訴えています。

●特措法では「地方公共団体」が責任を持つことになっている

K-1の問題は、各方面で議論となっています。今回、国や地方自治体、そしてイベント事業者は何が出来たのでしょうか。

今回の騒動は、埼玉県がK-1に対して行った自粛要請から始まっています。国ではなく、何故埼玉県が自粛要請を出したのか、国がK-1に自粛要請をする法的根拠を持っていない、かつ、埼玉県はさいたまスーパーアリーナの所有者であり、管理者という立場から監督する義務を負うからです。

こういうと、国が責任逃れをしているように見えるかもしれませんが、こうした事態においては、一義的には地方自治体が責任を持っています。3月14日に改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法第3条第4項に定められている通り、地方公共団体がその区域の事態には責任を持つことになっています。

この条文を見て、国が地方に丸投げしていると批判している議員たちも居ます。K-1の問題がクローズアップされ、「あの時、ちゃんと中止命令を出せるようにすればよかった」と批判する人たちもいます。

感染症対策は、場所によって違います。例えば、北海道では感染者が急増したので、緊急事態宣言を出し、外出自粛を促しました。しかし、同じことを感染者の居ない県でやったらどうなるでしょうか。経済活動を自粛させ、国民生活はボロボロになってしまいます。

また、自粛要請は、拘束力を持ちませんが、実質的には効果があると理解することも出来ます。多くの事業者は要請に従っており、破った事業者は今回のK-1のように社会的な制裁を受けることが予想されます。

以下ソース先で

2020年03月29日 10時34分
https://www.bengo4.com/c_18/n_10988/