良識信じたが…
 高知市中心部の帯屋町公園(高知市帯屋町2丁目)から3月末でごみ箱が撤去される。市内の公園には、ほとんどごみ箱が置かれていない中、ここは非常に珍しい「ごみ箱のある公園」だった。利用者からは不便になるとの声も上がるが、市や地元商店主は、以前からごみの量やマナーの悪さに困っていた。
 
 高知市みどり課によると、市内に約700ある公園では10年ほど前からごみ箱の撤去を進めてきた。担当者によると「市としては、ごみ箱は置かない。小さい公園に地元の人が置く場合などを除けば、ほとんどごみ箱はないはず」という。家庭ごみの持ち込みや不法投棄が相次いだためで、中央公園や城西公園などには10年ほど前からない。
 
 帯屋町公園は中心街にごみ箱を残す“最後の公園”。1995年にリニューアルした際、近隣の商店主らでつくる帯屋町公園運営委員会と高知市が協議。「お昼休みに弁当を食べて捨て、たばこを吸って休むぐらいなら」と5個設置し、帯屋町公園運営委員会が管理してきた。
 
 だが、帯屋町公園でも不法投棄が続いた。電化製品や台車が捨てられたことも。帯屋町公園運営委員会が委託する高知市シルバー人材センターの担当者が毎日、ごみ箱や周辺に置かれたごみを分別し、高知市みどり課が週2回、収集する。
 
 収集したごみ袋を積み上げると、道から階段を8段上がった公園の上まで積み重なることもある。「ごみがごみを呼ぶ状態。公園がごみ捨て場にされている」(高知市みどり課担当者)
 
 帯屋町公園運営委員会の長瀬幸子さん(73)も「良識のある範囲のごみ捨てなら、全然問題はないのですが。南欧風のおしゃれな公園に大量の瓶や缶などが散乱している」と憤慨。高知市は帯屋町公園運営委員会と協議してごみ箱の撤去を決めた。
 
 公園利用者からは「お弁当のごみをぶらぶら持って歩くことになるき困る」(50代女性)といった不満の声も上がる。「平日は毎日来ているが、ごみは会社に持ち帰っているので問題ない」と理解を示す声もあった。
 
 高知市みどり課は「ごみは持ち帰りが当たり前という意識が浸透して公園や街の美化につながれば」としている。
 
 ごみ箱が消えていく。(深田恵衣)

2020.03.30 14:37
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