上の図では、北海道、関東甲信越、東海・北陸はそのようなシフトがありません。だいたい典型的なヤマト人です。問題は東北人です。東北人だけはなぜか右の方に逆に、大陸とは違う方向にシフトしています。
これはいったい何だろうと。少し、しかも下に移動していますので、これが沖縄ですから、沖縄と共通性があるようにも見えるという、不思議な結果を理化学研究所のグループが出しています。

これは、私は最初、あるいはこの論文を出した人たちも、アイヌの人たちの遺伝的な影響が東北の人たちにあったからではないかと考えました。
そうすると、アイヌの人たちは、少し引っ張られていますので、この辺り(図の右端の方)になるべきです。

ところがわれわれの結果では、図のようにアイヌの人は真下にきています。ということで、どうも東北の人のシフトというのは、アイヌの人たち、つまり縄文的な人々の要素とはまた違うものがあるのではないかと考えたわけです。

この図は少し複雑なのですが、地域ごとに1つの丸にして集団で考えてみますと、沖縄は非常に違います。これは当然予想されることです。
この図の中に不思議な平行四辺形があるのですが、これをもっと簡単に示すために、4つだけ選びました。

そうしますと今度は、図のような長方形が出てきます。この意味は、長い方の水平な辺は、九州と沖縄に共通性があり、そして近畿と東北と分かれるというものです。
地理的に考えて、この3つの地域で、ヤマト地域で沖縄に一番近いのは九州ですから、当然予想されるわけです。
ところが、今度は図の長方形の上下にある垂直な辺です。面白いことに、北海道を除いて一番沖縄から遠い東北と沖縄に、共通点があるということが分かるわけです。

それで出雲が出てきます。出雲の人たちは中国の北部の人、北京やあるいは韓国の人から見ると、 関東の人々よりも離れているのです。
つまり、地理的には山陰地方ですから、朝鮮半島に近いから、近畿と同じようにその近くにくるのではないかと私たちは思ったわけです。
つまり近畿の人よりもっと東北っぽいのです。