宗教上の理由から特定の食べ物が食べられないイスラム教の園児のために、四日市市が保育園、認定こども園の給食対応の指針を作成した。国はアレルギーに応じた給食の指針は示しているが、宗教食の対応は自治体に任されている。市によると、自治体が文書で指針を示すのは東海三県でも珍しいという。

 イスラム教では、主に豚肉やアルコールの摂取が禁じられている。指針では、豚肉の除去や代替食品での対応、豚エキスや酒、みりんを使わずに別の調味料にすることを基本とした。市はこれまで、園での弁当持参を原則認めていなかったが、それ以上の厳格な対応を求められた時は弁当の持参も可能とした。

 宗教食に応じた給食を希望する、保護者の対応手順も明記。まず、入園申請時に保護者から市に申し出があれば、市職員が可能な対応を伝える。入園決定後、市が園側に対応が必要であることを伝達。入園時には、園と保護者が面談し、給食対応について情報共有する。毎月、翌月の献立表を保護者に提供して確認してもらう。指針作成にあたっては、アレルギー対応を参考にした。今後、市は市内の全保育施設に作成した書面を配るほか、調理員や施設長を集めて説明会を開く。

 市内の保育園では昨年四月末、イスラム教に対応した給食を巡り、女児が退園を余儀なくされる事案が発生。それを機に、市が昨夏から三重大の学食やイスラム教徒の話を参考に、指針の作成に取り掛かった。市保育幼稚園課の担当者は「市が考えを示すことで、園と保護者の意思疎通を円滑にし、トラブルを減らすことができれば」と話した。

2020年4月5日
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