緊急事態宣言を受け、対象地域となった大阪府や兵庫県。スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど食料品や医薬品を扱う事業者はおおむね通常通り営業する。一方、百貨店など一部の大型商業施設では休業する店舗もあり、再開が見通せない状況となっている。

 「買いだめしないようにとニュースなどで言っているから、必要な分だけ買うように気を付けています」。大阪府東大阪市のスーパーで飲料水を購入していた主婦(75)はこう話す。

 総合スーパー「イオン」などを展開するイオンリテールは、商品の欠品に留意しながら原則的に通常営業を続ける方針。緊急事態宣言が出された7日も「特に混乱もなく、目立った買い占めなどはない」(広報担当者)という。

 スーパーのオークワも通常通り営業する方針だ。感染防止の観点から「客を集中させないため、1カ月ほど前からチラシ広告を減らしている」。緊急事態宣言で外出自粛が進めば、一度に買い物する量が増えて一時的に店頭で品薄状態になる可能性もあるとして、引き続きチラシ広告は減らす。スーパー「ライフ」を展開するライフコーポレーションも店内の混雑緩和や商品の安定供給を図るため、チラシ広告を当面自粛。一部商品の販売制限や、レジ待ちの客の列の間隔を空けるようにするなどの策も講じる。

 高齢者などに配慮した販売を試みる店舗も。生活協同組合「コープこうべ」(神戸市東灘区)は8日から当面の間、兵庫県と大阪府北部の99店で、開店から30分間を65歳以上の高齢者専用の買い物時間とする。障害者や妊婦なども対象で、安心して買い物ができるよう配慮したという。対象外の利用者は開店から30分後に買い物できる。

 セブン−イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの大手コンビニも「お客さまの生活を支えることが大事」(ローソン)と、原則通常営業。ドラッグストアチェーンのキリン堂も通常通り営業を続ける。

 一方、JR大阪駅北側の駅ビル商業施設「ルクア大阪」(大阪市北区)は、8日から5月6日をめどに、全館臨時休業する。また、隣接する大型複合施設「グランフロント大阪」(同)も、コンビニやクリニック、ドラッグストアなどを除く商業エリア部分を当面、臨時休業。同駅南側の大丸梅田店(同)も当面の間、全館休業する。駅ビル施設では、JR天王寺駅の「天王寺ミオ」(同市天王寺区)が5月6日までををめどに、スーパーやドラッグストアなどを除き休業する。

 ルクア大阪を週2〜3回利用しているという大阪府豊中市の会社員の女性(40)は、休業のニュースを知って、生活用品や食料品を買いに訪れた。「仕事の後に買い物するのがリフレッシュになっていたので少し寂しい。ただ、ずっと閉まるわけではないので、再開を楽しみにこの1カ月は家でおとなしく過ごそうと思う」と話した。

 他に百貨店では大丸心斎橋店(大阪市中央区)、同神戸店(神戸市中央区)、同芦屋店(兵庫県芦屋市)が全館休業。高島屋は大阪店(大阪市中央区)、堺店(堺市)、泉北店(同)の3店が食料品フロア以外を臨時休業する。高島屋は「社会インフラとしての機能を考え、食料品売り場は営業を続けることにした」としている。

 近鉄百貨店は当面の間、あべのハルカス本店(大阪市阿倍野区)や上本町店(同市天王寺区)で食料品売り場などを除き、臨時休業する。阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)と阪神百貨店梅田本店(同)は、平日は食料品売り場のみ営業し、土日祝日は全館臨時休業する。

 一方、JR西日本、私鉄、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)など公共交通機関は通常通り運行する予定。銀行など金融機関の窓口もほぼ通常通り営業。関西みらい銀行など、りそなホールディングス傘下の各行は、午後5時まで営業している各支店の営業時間を同3時までに短縮する。

https://www.sankei.com/images/news/200407/wst2004070028-p1.jpg
https://www.sankei.com/west/news/200407/wst2004070028-n1.html