緊急事態宣言が兵庫など7都府県を対象に7日発令され、兵庫県が外出やイベントの開催自粛、夜間に接客を伴う飲食店やバーなどの利用自粛を要請した。
強制力はないが、「死活問題」と受け止める店や労働者も。歴史的な一日に、街は、人は−。(伊田雄馬、小谷千穂、末永陽子、谷川直生)

午後6時ごろ、神戸・三宮の大画面「ミントビジョン」前。会社員や学生らでにぎわう時間帯だが、人はまばら。通行人らはニュースに見入った。

神戸市須磨区の女性保育士(23)はこの日、勤務先の認定こども園の入園式が中止に。幼保一体型のうち幼稚園が5月6日まで休園となり、勤務時間も2時間減。「給与がカットされる」と不安がった。

駅近くの食品スーパーでは、午後4時ごろからレジに行列ができた。

中央区の看護師の女性(23)は、インスタント食品や冷凍食品などを購入。「買い過ぎはいけないけど、空になっていく棚を見て不安になった」

人が行き交う新神戸駅も閑散。スーツケースを手に改札から出てくる乗客には、マスク姿が目立つ。

名古屋から戻った神戸市の男性会社員(64)は、医療関係の営業を担当。月の半分を東京や名古屋、福岡への出張が占める。会社の指示で8日から出張禁止となり、10本ほど新幹線予約を中止した。「お客さんのために出張を続けていたが、宣言で取引先に理解してもらえる」と安心した。

外出自粛は、家計やサービス業を直撃する。

神戸市の派遣会社員の女性(36)は午後7時すぎ、自宅のテレビを神妙な表情で見つめた。「明日にでも仕事を失う人がいることを知ってほしい」

4月に入り、勤務先からは週に1、2日の自宅待機を命じられるように。この日も小学生の息子2人と自宅で過ごした。学童保育は継続が要請されたため、子どもの預け先には悩まなくてすむが、「(宣言は)安全のために歓迎だけど、仕事を失うのは怖い」と複雑な表情だった。

利用を控えるよう“名指し”された夜の街は、厳しい対応を迫られている。

午後8時を過ぎた東門街。かつてのにぎやかさは見られず、客引きが大半だった。

神戸市中央区のバー「KANADE」。十数人が席を埋めたが、「最後の夜に店を助けるつもりで来た」と、常連の男性(33)。マスターの買手正理さん(36)は「売り上げは9割減。営業する店が犯罪者のような目で見られるけど、生活のため続ける」。

スナック「Bijoux(ビジュー)」は8日は営業するが、客足次第では臨時休業も検討する。ママの北村多摩水さん(35)は「具体的な補償がないと、閉められない」と漏らした。

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4/8(水) 7:00配信