新型コロナウイルスの感染拡大は、東北を代表する伝統の火祭りをも中止へと追い込んだ。
青森ねぶた祭の中止が正式決定された8日、青森市の観光関係者は事情を受け止めつつ「死活問題」「業績悪化に追い打ち」と悲鳴を上げた。
制作途中のねぶたを前に、やるせない思いを抱える運行団体。
一部の市民からは「来年こそ、今年の分まで盛大にやってほしい」と願う声が聞かれた。

青森ねぶた祭の中止決定を受け、青森市内の観光業者や中心商店街からは「大きな稼ぎ時を失う」などと経済的な打撃を嘆く声が上がった。

新町商店街の「甲州屋洋服店」は、毎年約1500人にハネト衣装を貸し出す。既に数百人分の予約が入っており、内藤亘店長(54)は「キャンセルの連絡を入れなければ…」と声を落とす。
Tシャツなどねぶたグッズの開発、販売にも力を入れており「自助努力だけでは店が立ちゆかない。
来年のねぶた祭まで店を続けられるくらいの補償をしてほしい」と要望した。

青森駅前の土産店「葛西商店」店主の葛西宏一郎さん(53)は「本来は年間で一番売り上げが見込める時期。
経済的なダメージはかなりのものだろう」と不安を募らせた。
運行コース近くの居酒屋「ますや」はねぶた祭期間中、露店も出し1カ月分以上を売り上げるという。
店主の小鹿幹雄さん(78)は「ねぶた祭がなくても来てくれる客を待つしかない」と漏らした。

アスパムやJR新青森駅に店を構える「あおもり北彩館」の棟方祐悦専務は「インターネット販売に力を入れていきたい」と述べ、
アスパム内の土産店「青森県地場セレクト」も情報発信に力を入れることでねぶた祭中止による集客減を補う姿勢を示した。

ねぶた祭期間中の貸し切り予約が多く入っていたという成長タクシーの担当者は「8月は売り上げが年間平均の15%増になる。
当然中止の影響はある」。一番・リンクタクシーの担当者は「ねぶたの時期は売り上げがいつもの2〜3倍になる運転手もいる。大きな稼ぎ時を失う」と懸念した。

県内のあるバス会社は、首都圏の旅行会社からのツアー予約が入っていたが、半分以上がキャンセルになるだろう−と予想。
担当者は「弘前さくらまつりのキャンセル対応をしていたら、次はねぶた祭の中止」と落胆した。

県観光連盟の高坂幹専務理事は「本県の観光にとって最大の収益源を失うことになる。
終息後には反転攻勢をできるよう準備をやっていく」と話した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00000006-webtoo-l02
4/9(木) 9:19配信

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