世界的に感染が広がっている新型コロナウイルス。感染者のうち80%が軽症で歩ける。残り20%は確実に入院が必要といわれ、そのうち5%は集中治療室に入らなければ命を落とす。何が重症化をもたらすのか──。

「中国・武漢で蔓延し始めたとき、感染で『脳が炎症を起こして壊死する』とか、『ウイルスが中枢神経を攻撃して突然死する』などという報告があった。しかし、いまでは新型コロナは肺の中にたまり、肺炎など呼吸器系の疾患を引き起こし、それが重症化を招くことがほぼ判明しています」(厚労省関係者)

 治療に当たる多くの医師が口を揃えるのが、「患者の肺の健康状態が生死を分ける」ということだ。

「肺炎を起こしやすいリスクが高い人が要注意と言えます。たとえば膠原病やリウマチといった免疫疾患がある人や、気管支喘息などの持病で呼吸器系が弱い人。高齢者で、誤嚥性肺炎の経験があったり、発熱時に肺炎を併発しやすい人も重症化リスクがあります。

 ウイルスが原因になる肺炎は一般的に、肺胞を支える組織である『間質』の部分が炎症を起こす間質性肺炎です。ごく稀ですが、遺伝的に間質性肺炎を起こしやすい人たちもいます。親族で肺炎になる人が多い場合は、新型コロナに充分な注意が必要です」(前出・厚労省関係者)

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは、「喫煙歴」を指摘する。

「たばこは徐々に肺の組織を壊し、機能を低下させ、肺炎リスクを増大させます。問題は過去に吸ったたばこの本数で、残念ながら一度壊れた肺胞は甦らないので、いまから喫煙をやめたとしてもリスクが下がることはありません」

 米医学誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された論文によると、中国の患者1099人を分析したところ、非喫煙者の重症率は14%だったが喫煙者は24%に上ったという。

 新型コロナに感染して亡くなった志村けんさん(享年70)や、重症化して集中治療室(ICU)で人工呼吸器をつけている元プロ野球選手の梨田昌孝さん(66才)も喫煙者だった。一方で感染したものの回復して退院した日本サッカー協会の田嶋幸三会長(62才)は非喫煙者だ。

 千種病院の総合内科医である近藤千種さんが説明する。

「たばこを吸いすぎると肺胞が硬くなって肺の弾力性が低下し、空気がうまく吐き出せなくなります。しかも喫煙所は換気が悪い密閉空間で、人が密集して近距離で会話が行われるという『3つの密』が重なるエリアです。ただでさえ重症化リスクを抱える喫煙者にとって喫煙所はリスクが高すぎます」

※女性セブン2020年4月23日号

4/9(木) 16:05配信
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