日本では自粛要請が出されるものの、経済的な支援策が不透明なため、多くの人が今後に不安を抱えている。一方で、ドイツでは救済措置が優先しておこなわれており、そのスピードは申請者すら驚くほどだ。

連邦政府の不足部分を市や州が補助

ドイツでは3月半ばから、新型コロナウイルスの拡散防止策として行動制限や店舗の閉鎖などが実施されている。それによって、フリーランスの写真家ローレンツ・ボステットは次々と契約がキャンセルされ、予定していた収入がすべて消えていくのを呆然と眺めていた。

しかし、彼が緊急救済措置の申請を済ませてからわずか3日後には5000ユーロ(約60万円)が彼の銀行口座に振り込まれた。ベルリン市は3月19日に、基本的な支払いを賄えない自営業者や中小企業の経営者に迅速に給付金を支払うと表明していた。

多くのベルリン市民が驚いたことに、通常の事務処理業務が山積みなのにもかかわらず、その救済措置は優先的におこなわれた。申請手続きが始まってからわずか5日後には、政府はすでに15万人以上の自営業者や従業員5人未満の企業に14億ドル以上を支払ったと発表したのだ。

「みんな、かなり驚いています」とボステットは電話インタビューで語った。

「驚くほどスムーズに、すべてが清々しいほどに組織化されていたのです」

アーティスト、ファッションデザイナー、プログラマー、ヘアスタイリスト、ウェブデザイナー、カフェのオーナー、クラブ経営者などの小規模雇用者やフリーランサーは、ベルリンのビジネスの4分の1を占める。連邦政府が初期に行った応急措置は、大企業の破綻を防ぐことを主な目的としていたため、彼らはその恩恵を受ける資格がなかった。そこで、ベルリン市は彼らのための特別な救済措置を設けたのだ

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ヨーロッパの各国では、大企業による従業員の解雇を防ぐだけでなく、小規模な企業経営者が基本的な支払いをできるように救済策を迅速に策定している。失業した労働者は失業給付を受ける資格があるが、自営業者は政府の自宅待機命令により「仕事がない」わけではなく、厳密に言えば「仕事があるのに働けない」という異常な状況に置かれているのだ。

ベルリンほど手厚く、迅速に恩恵を受けられる場所はない。

「申請の順番を待つこと3日、その後はフォームの記入に約10分、そして、その2日後にはお金が口座に振り込まれていたのです」

グラフィックデザイナーのジョージ・クヴァスニコフはツイッター上で「まったくストレスがない」と呟いた。

5min2020.4.9
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