富山市水橋新大町の渡辺昭三さん(75)が、水橋地域で海や川に捨てられたごみを拾い続けるボランティアに取り組んでいる。ごみを「モンスター」と呼び、「神の手」と名付けた手製の道具を使って空き缶やペットボトルを拾い集める。亡き長男をしのんで活動を始めた渡辺さんは「生涯現役」と汗を流す。



 渡辺さんは、白岩川や水橋海岸でごみを見つける度、金属のパイプと園芸用のかごで仕立てた神の手と呼んでいる道具で器用に集める。



 昨年には「川のごみ」を「プラスティックモンスター」として商標登録を申請し、認可された。「プラスチックは永遠にその場所に残る。まさに怪物だということを知ってもらいたかった」と語る。



 渡辺さんがごみを拾い集めたのは14年5月、長男聡さんを心臓発作で亡くしたことがきっかけだ。働き盛りの42歳だった息子を亡くし、「何か殴られたようだった」と悲しみに暮れた。



 「自分の生き方を探さねば」と思案する中、水橋海岸と白岩川にごみがたくさん浮かんでいるのが目にとまった。「昔は泳げるぐらいきれいだった。生まれ育った水橋をきれいにしよう」と一念発起した。3人の協力者も現れ、多いときには1年間で1トンのごみを拾った。



 周囲から「汚いから辞めて」「ごみを出さないでほしい」と厳しい言葉を投げ掛けられたこともあったが、「きれいにしてもらって、ありがとうね」という声や、活動中に中学生からお茶の差し入れをもらうことが励みとなった。



 年齢的にも体力的にも年々、負担は増している。海や川へ降りる階段や川の石を渡り歩くのは大変だが、ごみ拾いを辞めるつもりはない。渡辺さんは「全身全霊を傾け、体が続く限りできることをやっていきたい」と語った。

2020/04/09 02:09
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