謝罪投稿は全て同じ言葉遣いのためフェイクだと容易に分かる
台湾はWHOなど国連機関加盟を長く求めているが、中国が反対

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が台湾から人種差別攻撃があったと主張している問題で、台湾人がインターネット投稿で謝罪しているように中国側が見せかけていると台湾当局が指摘している。

  台湾法務部(法務省)調査局は10日の記者会見で、中国のネットユーザーが台湾人を装い、テドロス氏に対する人種差別攻撃について謝っているように見せていると説明。同局情報セキュリティー部門の張尤仁主任によれば、こうした投稿は全て同じ言葉遣いのためフェイク(偽)だと容易に分かる。

  投稿は全て「台湾人として、このような悪意のあるやり方でテドロス氏を攻撃したことを極めて恥ずかしく思う。台湾人を代表してテドロス氏に謝り、許しを乞う」というものだが、いずれも中国に拠点を置くアカウントから発せられたようだとしている。

テドロス氏は8日、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の対応を巡りオンライン上で3カ月にわたり台湾からの攻撃の標的になっていると述べたが、台湾の関与を示す証拠は何も示さなかった。これに対し、台湾の蔡英文総統はテドロス氏の主張に「強い抗議」を表明するとともに、同氏に台湾訪問を呼び掛けた。

  台湾はWHOなど国連機関への加盟を長く求めているが、台湾を領土の一部と見なしている中国が反対し続けている。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、台湾は新型コロナの感染拡大を他のアジア諸国・地域よりうまく封じ込めており、10日時点で確認症例数は約380件。

  中国国務院台湾事務弁公室はウェブサイトに同日掲載した声明で、蔡政権は「うそを並べ憎悪をあおる」ことをやめ、ウイルスとの闘いに焦点を絞るべきだとコメントした。

2020年4月13日 11:29 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-13/Q8P8FQDWRGG301