米スミスフィールド、サウスダコタ州の食肉工場を一時閉鎖
工場が動かなければ食料品店の在庫維持は不可能−CEO

世界最大の豚肉生産会社である米スミスフィールド・フーズは、従業員の新型コロナウイルス集団感染を受け、米国内の主要工場を無期限で閉鎖する。同社は米国各地で相次ぐ食肉加工施設の閉鎖で国内の食肉供給が「危険なほど限界」に近づいていると警鐘を鳴らした。

  同社は12日に出した文書で、米国内生産の4−5%を占めるサウスダコタ州スーフォールズの豚肉加工施設の操業休止を明らかにした。同施設の従業員200人余りの新型コロナ感染を州当局者が報告したのを受けた措置。米国の食肉加工業界では既に数百人の感染が確認されており、複数の工場が閉鎖もしくは生産量削減を余儀なくされている。

  スミスフィールドのケン・サリバン最高経営責任者(CEO)は発表文書で食肉加工業界の工場閉鎖が増えていることについて触れ、「われわれの工場が動かなければ食料品店の在庫維持は不可能だ」と述べた。

食肉加工施設での感染者数の増加は従業員の安全をめぐる懸念も高めている。食肉大手JBSとタイソン・フーズが所有する加工施設では従業員の死亡が報告されており、一部では労働条件に抗議するストライキも行われた。食肉加工施設は生産ラインが近接しがちで、感染を防ぐために他人との距離を保つのが難しい。

  香港株式市場に上場する万洲国際(WHグループ)傘下のスミスフィールドは当初、サウスダコタ州の施設を3日間閉鎖する計画だった。しかし、同州のノーム知事が少なくとも14日間に延長するよう要請。同社は施設再開について、地方自治体や州当局、連邦当局からさらなる指示を受けた上で決めるとしている。

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食料サプライチェーンでは他の場所でも労働者の新型コロナ感染は始まっている。世界中の食肉工場や農場、倉庫や加工施設での感染症例は今後、まず間違いなく増え続けるとみられる。

  スミスフィールドのサリバンCEOは「国として厳しい選択を迫られている。新型コロナ感染症に直面しても食料を生産するかしないかだ」と語った。

2020年4月13日 13:25 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-13/Q8PFOUDWX2PV01