新型コロナウイルスの感染拡大が全国的に加速しているのに伴い、県内の観光施設では、入り込み客減少に歯止めがかからず苦境が続いている。一方、緊急事態宣言が発令され政府が対象地域から地方への移動自粛を呼び掛けているにもかかわらず、対象地域をはじめ県外から徳島を訪れる観光客も見られる。施設側は感染予防対策に神経をとがらせている。

 県外客の利用が多い観光遊歩道「渦の道」(鳴門市)は、3月の来場者数が2万8974人で前年同月(5万3583人)に比べて半分ほどに減っている。4月以降も減少傾向は続くが、宣言対象地域である大阪や神戸のほか、10日に県独自の緊急事態宣言を出した愛知などからの来訪が相次ぎ、駐車場では県外ナンバーの車が多くを占める。

 大阪府吹田市の男性会社員(45)は「大阪では出歩けないので気分転換に立ち寄った」と話した。

 施設では、職員のマスク着用を徹底したり、手すりなど客が触る部分の消毒をしたりして感染予防に力を入れる。担当者は「ゴールデンウイークも控えており県外客が増える可能性がある。対策を徹底させたい」と気を引き締める。

 祖谷のかずら橋(三好市)も、3月の観光客が例年に比べ半減しているが、関西圏の観光客からの問い合わせは1日30件近くあり、駐車場にも県外ナンバーの車が絶えない。京都府から訪れた男性(26)は「都心と違うので、人混みを避けて観光できると思った。車で来たし、人も少ないみたいで良かった」と笑顔を見せた。

 担当者は「閑散期より人出が少なくて非常に厳しい状況」とした上で「施設内のアルコール消毒やマスク着用などで感染予防を徹底していく」と話す。

 阿波おどり会館(徳島市)は、夜間の踊り公演を取りやめた影響などで3月の人出は2963人と、前年同月(1万4202人)から激減。眉山ロープウエーの利用者も5860人と、前年同月(1万3119人)から半減している。団体予約が全てキャンセルになったことで、県外客や海外客はほとんどいないという。

 施設の換気、消毒を徹底したり、客に検温を求めたりして感染防止に努めており、担当者は「1日でも早く収束してほしい」と期待する。

 まぜのおかオートキャンプ場(海陽町)では11日に宿泊した15組のうち、6組が県外の利用者。当初は22組が宿泊予定で、宣言以降に7組のキャンセルが出た。担当者は「自粛ムードの広がりは感じるものの、県外からの利用者は一定数いる。体調の悪い人は申し出るよう呼び掛けている」と語った。

 ある施設の担当者は「この時期なので多くの人に来場を呼び掛ける営業ができない。県外客が増えるのはありがたいが、感染拡大のリスクも高まるので悩ましい」とジレンマを口にした。

4/13(月) 13:15 徳島新聞
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