中国で宇宙開発を担当する国有企業の中国航天科工集団有限公司が、「武漢号」と名付けた人工衛星を4月中に打ち上げることが分かった。この衛星の本体には「医療従事者に敬意を表する群像」が描かれている。この理由は、新型コロナウイルス感染の震源地となった武漢市で、1月から医療活動を行った数万人の医師や看護師ら医療従事者に敬意を示すためだという。
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しかし、ネット上では、「武漢は8日に都市封鎖が解除されたが、まだまだ市民は感染の不安にさいなまれており、人口衛星に武漢の名前を付けるという美談に仕立て上げて、市民が暴動を起こさないためのガス抜きではないか」との声も出ている。中国新聞網などが報じた。
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「武漢号」と名付けられる人工衛星は、低軌道で地球をカバーする「宇宙IoT」通信伝送サービスを担当し、コンテナ、海洋、船舶、電力、災害、環境、林業、建機などの業界で活用されるという。
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このような通信サービスと武漢市とは直接の関係はないが、習近平国家主席の側近の中国共産党幹部が大手国有企業である同公司に「武漢号」と名付けるよう圧力をかけたとみられる。
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この背景には、武漢市で1月下旬から2か月半も都市封鎖が実施され、市民は不満が爆発寸前であるからでは、という見方も出ている。実際、中国政府は武漢や湖北省の住民による暴動を警戒するよう地方政府に呼びかける文書を通達している。
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武漢では8日午前零時を期して都市封鎖が解除されるや、市民は早朝から空港や駅、あるいは車で高速道路に殺到し、続々と武漢を後にした。空港は1万1000人、駅も5万5000人もの人々が利用したという。また、数万人もの人々を乗せた膨大な数の車が高速道路に入ったため、渋滞が起きて、まったく進まないため、市民らの間で殴り合いが起きたとも伝えられる。これは、いかに市民のストレスが高まっていたかを物語っている。
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実はこれ以前にも、移動をめぐって、湖北省と江西省の警官数十人による衝突が起きていた。武漢市を除く湖北省の他地域では3月25日に封鎖措置が解除されたため、湖北省市民が隣の江西省と繋がる橋に殺到。高速道路の料金所で江西省の警察が湖北省側で検問を設けて立ち入りを阻止したため、警察官同士の衝突が勃発したのだ。この情報をSNSなどで知った湖北省の市民が駆けつけ、騒動はさらに拡大し、多数の市民や警官が負傷した。
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今月8日の武漢市の都市封鎖解除でも、香港やマカオ、あるいは広東省では武漢市民の入境に強い懸念を抱いている。入境拒否、あるいは入境しても2週間の経過観察期間を置くとも伝えられており、他の地域の武漢への警戒は収まりそうもない。

4/15(水) 7:05
NEWS ポストセブン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200415-00000009-pseven-cn