九州新幹線西九州(長崎)ルートの新鳥栖−武雄温泉の整備方式を巡る国と佐賀県の調整に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。協議入りを急ぎたい国土交通省はテレビ会議の導入を模索するが、県側は「急ぐ状況にない」と否定的で、姿勢の違いが鮮明。国交省や与党議員は、足踏み状態へのいらだちを募らせている。

 「環境が整わない状況かなと思う」。同県の山口祥義知事は14日の記者会見で今後の議論の進め方を問われ、こう語った。山口氏は、感染対策に県庁を挙げて取り組んでいるとした上で、テレビ会議で新幹線関連の議論をすることは「必要性の順番で劣る」と強調。協議入りを目指す国との調整は「対面で話すべき内容」として、事態が一段落するまで先送りする考えを示した。

 整備方式を巡っては、国交省が1月に協議入りの前提などを確認するための文書案を県に提示。県は内容を不服として3月に文書案を作り直して返送したが、国交省がさらに修正した案を2日後に送り返し、県が説明を求めている。

 県は4月以降、担当部長が県庁で国交省側に応対する考えだったが、政府の緊急事態宣言が出たこともあり往来や面会が難しくなった。国交省担当課は「緊急時でも重要施策は進めなければいけない」とテレビ会議を検討するが、県幹部は「新型コロナ対策に忙しい中では県民の批判を浴びかねない」と強調する。

 政府、与党内には膠着(こうちゃく)状態が長引けば、予算確保や着工時期に影響しかねないとの懸念もある。県内では3月以降、自民党の佐賀県議団が早期の協議入りを県に要請したり、市町議グループがフル規格化を求めたりしている。「協議自体は早く進めるべきだ」と国交省幹部。与党議員は「議論を先送りして困るのは利用者だ」と語気を強める。 (森井徹、北島剛)

4/15(水) 10:25 西日本新聞
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