宮城県は17日、高知大との共同研究で、凍結乾燥(フリーズドライ)させた精子を使って黒毛和牛の子どもを誕生させることに成功したと発表した。県は、牛では世界初としている。常温で保存可能とされるフリーズドライ精子による繁殖に道が開ければ「遺伝資源」の安定的な保管につながると期待される。

 ただし、今回はマイナス30度で冷凍保存した精子を使用。県は今後、常温保存した精子での子牛誕生を目指す。

 昨年1月に高知大の松川和嗣准教授(家畜繁殖学)が、宮城県の基幹種雄牛「茂福久」の精子をフリーズドライ。同7月、宮城県内の酪農家の雌牛に人工授精し、今月14日に体重30キロの雌が生まれた。健康状態は良好で、現在は酪農家が飼育している。

 通常、牛の精液はマイナス196度の液体窒素で冷凍保存される。災害などで液体窒素を補充できなくなれば、貴重な精液や受精卵を失う恐れがある。

写真:凍結乾燥させた精子を使って誕生した子牛
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