中国人の高級ブランド「爆買い」復活、封鎖解除
中国人消費者は高級ブランドにとって「防波堤」だとアナリストらは指摘する

 【パリ】中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(封鎖)措置が解除されて以降、一部の高級ブランドへの支出が急増している。

 中国が1月にロックダウンを実施した際、同国消費者への依存は高級ブランドにとって「足かせ」になると思われた。だが現在、中国人消費者はコロナ禍の「防波堤」だとアナリストらは指摘する。

 フランスの高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは16日、3月に中国本土にある店舗の大半で営業を再開してから客足が戻っていると明らかにした。LVMHはルイ・ヴィトン、ディオール、フェンディなど数多くの有名ブランドを展開する。

 LVMHのジャンジャック・ギオニー最高財務責任者(CFO)は、傘下ブランドの大半について中国での売上高が3月後半、前年比でプラスに転じたとし、4月も増収率は非常に高く50%を超える場合もあると述べた。2カ月にわたるロックダウンを経て、中国人の消費意欲が戻っていることを示しているという。

 だがギオニー氏によると、1-3月期の中国人の支出全体は落ち込んだ。中国人は通常、欧州各国の首都や米国の大都市などで高級ブランドを購入するためだ。世界的に渡航制限が敷かれる中、中国人が海外で再び「爆買い」する機会や意欲があるかは今のところ不明だ。

 LVMHの1-3月期(第1四半期)の売上高(為替変動など調整済み)は17%減の106億ユーロ(約1兆2400億円)。これはアナリスト予想と一致する。新型コロナウイルス感染が武漢市を席巻し中国全土に拡大する恐れが出始めた2月から3月前半、同国のLVMH店舗は営業を停止した。一方、欧米の店舗は3月、ロックダウン措置により閉鎖を余儀なくされた。

 フランスの化粧品大手ロレアルも、中国の高級ブランド市場が復活しているとみている。アルマーニやイヴ・サンローランなどのブランドを抱える高級化粧品部門の1-3月期(第1四半期)売上高は8%減少した。だが同社は16日、中国での売上高に「消費の回復を示す確かな明るい兆し」が現れているとの見方を示した。

 アナリストらは、コロナ危機でLVMHなどの大手やルイ・ヴィトン、エルメス、シャネル、グッチといった有名ブランドの優位性が拡大する可能性があるとみている。

2020 年 4 月 17 日 12:29 JST
https://jp.wsj.com/articles/SB12455294765627133433304586328553665730800