新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全国に拡大し、不要不急の外出の自粛が要請される中、全国有数の観光地で知られる京都が大きな打撃を受けている。感染拡大前にはインバウンド(訪日外国人)など急増する観光客が集中し、住民生活が損なわれる「観光公害」が深刻化していたが、一転して窮地に立たされている。【添島香苗、鈴木健太郎】
 府が休業要請を出す前日の17日午後、京福電鉄嵐山駅(京都市右京区)前で観光客向けの飲食店や土産物屋が立ち並ぶ嵐山商店街は、多くの店がシャッターを閉め、臨時休業を知らせる張り紙が並んだ。


 同商店街の細川政裕会長(58)によると、17日は加盟店約100店舗のうち約9割が休業した。自身が経営する土産物店もこの日は開けたが、休業要請を受け18日以降は店を閉める。「お客様をもてなしたい気持ちはあるが、今はやむを得ない」と話す。

 観光名所の渡月橋近くで修学旅行生など団体の食事に対応する「レストラン嵐山」の田村真一執行役員(68)によると、4月の昼食は例年、4万〜5万食の予約があるが、2020年はキャンセルが相次ぎゼロに。「40年以上してきて、こんな事態は初めて。先が見通せないのがつらい」と表情を曇らせる。

 一方、宇治市の世界遺産・平等院は国宝・鳳凰堂の内部を含む一般拝観を既に停止。参拝希望者向けに境内を午前9時〜午後5時の間、無料で開放しているが、17日も近隣の住民が散歩などで時折訪れるのみで、普段のにぎわいは見られない。

 表参道には土産物店や名物の茶を売る店が並び、いつもなら観光客であふれるが、外出の自粛で人影もまばらだ。1717年創業の和菓子店「能登椽稲房安兼(のとのじょういなふさやすかね)」を経営する稲房直さん(62)は「私たちのような小規模店への支援策が全く見えない。固定資産税の猶予のような策を、早く打ち出してほしい」と願った
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