ハワイの観光客激減でコーヒーは大打撃
新型コロナウイルスは、いまハワイの経済を直撃している。ハワイ州の感染者数は517人、死者は9人だ(現地時間14日現在:Hawaii News Now調べ)。
先月のハワイへの渡航自粛要請以降、観光客は激減。
外出禁止令が出されて、主要観光地は閉鎖、店舗も軒並み休業となっている。そしてその影響は、ハワイの名産でもあるコナコーヒー農園にも及んでいる。
コーヒーの売り上げへの打撃はもちろんだが、さらに深刻なのは中南米からの外国人労働者が激減し、農園の働き手がいなくなることだ。

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ハワイ島コナでコーヒーを栽培している山岸秀彰さんに、いま農園が置かれた状況をオンラインで取材した。山岸さんは早稲田大学卒業後、農林中央金庫に勤務しイエール大学で経営学修士を取得。
その後、ニューヨークの米投資運用会社Merrill Lynch Investment Managers にてマネージング・ダイレクターとなり、2006年にリタイアして以降はハワイで「山岸コーヒー農園」を経営している。

コーヒー農園の経営が直面する2つの問題とは
ーーハワイではいま外出禁止令が発出されていますが、山岸さんの農作業や生活はどのように変わりましたか?

山岸さん:
年初にコーヒーの収穫作業がひと段落したので、いまは農閑期です。なので、イタリヤやニューヨークへの旅行を計画していたのですが、コロナの影響で取りやめにしました。
外出禁止令が出ているので、目の前の畑に閉じこもって、3200本のコーヒーの木の世話に専念しています。
農作業は必要不可欠な活動=Essential Activityとして、外出禁止の対象外なのです。ただ、町に出ることはできないので無精髭が伸び放題でしたが、妻に怒られてきょう1カ月ぶりに髭を剃りました。

ーーハワイ州知事が先月ハワイへの渡航自粛要請を出してから、まもなく1ヶ月が経とうとしています。
コーヒー農園の経営に対してはどのような影響がありますか?

山岸さん:
9月の収穫時期を待つまでもなく、既にコナコーヒー農家は、2つの大きな問題に直面しています。
まず、ハワイ州は外国やアメリカ本土など州外からの人の流入を厳しく制限しているので、観光客がいません。
なので、ハワイのお土産の定番であるコナコーヒーはまったく売れない状況です。

ーーもう1つの問題とは何ですか?

山岸さん:
私は夫婦2人でコーヒーを栽培しています。小規模な農園なので収穫時期には、数人の友人に手伝ってもらう程度ですが、周辺にある大規模な農園は、中南米からの労働者に依存しています。
彼らの多くは、普段はアメリカ本土でリンゴや桃などの収穫作業をしていて、コーヒーの収穫期の9月から12月にコナにやってきます。
しかし新型コロナウイルスの水際対策の一環として、国務省は先月、農業用ビザの発給を停止しました。
私たちコナコーヒー農家もそうですが、アメリカの農業の多くはメキシコなど中南米からの外国人労働者に依存しています。
しかし今回の措置で外国人労働者が入国できなくなり、今後農場では労働者不足が心配されているのです。

中南米の労働者が減り農園経営は困難に
ーーアメリカの農場で働く労働者の7割は外国人が占めている(アメリカ農務省調べ)ので、これでは今後農園の経営が立ちゆかなくなるおそれが出てきますね。

山岸さん:
労働者全体の約半数は就労ビザを持たない不法移民で、その多くがメキシコなど中南米から来ていると言われています。
ですから、今年のコーヒーの収穫時期に、コナ全体でどれくらいの労働者を集めることができるかは、まったくわかりません。

ーーアメリカ人の労働者を雇用することはできませんか?

山岸さん:
いまアメリカは空前の失業率ですが、アメリカ人は基本的に農場では働きません。ましてやコーヒー摘みなど、もともと奴隷や日系移民がやっていたことで、自分たちがやるべきことだとは思っていません。2008年のリーマンショックで失業者が急増した時も、アメリカ人でコーヒーを摘む人は日系人とハワイの現地人以外にはほとんどいませんでしたね。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200420-00032538-fnnprimev-int
4/20(月) 17:30配信

https://www.youtube.com/watch?v=LTbaGdPiN1s
コーヒー・ルンバ 西田佐知子&井上陽水