新型コロナウイルス感染が拡大する中で、立憲民主党の存在感が埋没気味だ。危機管理に当たる安倍政権を追及しづらいことに加え、枝野幸男代表らの発信が乏しいのも原因。国民民主党の玉木雄一郎代表が一律10万円給付や賃料猶予法案をいち早く掲げ「提案路線」を実践しているのとは対照的に、精彩を欠いている。

立憲の福山哲郎幹事長は21日の記者会見で「主張してきた10万円の一律給付などわれわれの意向が取り入れられた領域はある」と強調した。だが、立憲は当初、10万円給付には消極的で、国民民主が求めても野党共同会派の提言に盛り込むことに難色を示していた。

 野党内の主導権を維持する狙いがあったとみられるが、コロナ対策を連発する玉木氏に対し後手に回る場面が目立つ。発信の減少は、「桜を見る会」などで政権追及の主戦場となっていた野党合同ヒアリングを自重していることも影響しているようだ。

 そもそも枝野代表の会見は月1回だけ。毎日新聞の世論調査では、政党支持率が日本維新の会を初めて下回った。ある幹部は「枝野氏は提言、提案をした方がいい。支持率低下に危機感を持っている人もいる」と訴える。
 これに対し、玉木氏は活発だ。緊急事態宣言の発令や中国全土からの入国制限を早々に提起し、いずれも政府がその後、実施した。

政策を安倍政権に取り込まれ、得点につなげられることを警戒する立憲に対し、支持率が低い国民には、情報発信を優先させたいという事情もある。玉木氏は21日、取材に対し「良いアイデアがあれば発信し、政府・与党にのんでもらって実現すればいい」と指摘した。

 実際、休業を余儀なくされた事業者らの家賃負担を軽減する制度に関しては、玉木氏が各党に先行。自民党からも「野党の言うことは常に参考にすればいい」(幹部)として、国民の賃料猶予法案も排除せず、検討すべきだという声が上がっている。

2020年04月22日07時04分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042101047&;g=pol