「長寿化社会」は家族の関係に変化を生んでいるようだ。なかでも注目したいのは、
シニアが働く理由に「老老介護」や「8050問題」が絡んでいるということだ。

2016年の国民生活基礎調査によれば、介護が必要な65歳以上の高齢者を65歳以上の人が介護する、いわゆる「老老介護」の世帯の割合が54・7%に達し
さらに75歳以上同士の世帯が30・2%と初めて3割を超えたという。高齢化が進んだ上に、世代をまたぐ同居が減った結果とみられている。

■子世代との問題

 子世代との「8050問題」も、ここ数年表面化している。80代の親が50代の子ども(ひきこもり)の生活を支えていることを指すが
長期化していることが多く、親の高齢化、子の中高年化が浮き彫りになってきている。

80〜90年代に、若者の問題とされていた“ひきこもり”は約30年がたち、その若者が40代〜50代、親世代が70代〜80代となった。
外部に支援を求めることなく社会的に孤立し、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ちはじめている。

昨年、内閣府は40歳〜64歳までの中高年のひきこもりが推計で61万人に上り、若年層(15歳〜39歳まで)の54万人よりも多いことを明らかにした。

ますます高齢化する親世代の年金や「シニア就労」に、子世代が“パラサイト(寄生)”する傾向すら見えてくる。

家庭内の実態はなかなか外部には伝わりにくい。今後も増えていくこの種の問題は、
誰にでも起こりうる。こうした事態が拡大しないよう、行政や民間によるいっそうのサポート体制が望まれる。

https://www.zakzak.co.jp/smp/eco/news/200422/ecn2004220004-s1.html